アメジストを守る黒曜石 Ⅱ (ページ20)

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第64話おろうページ20

【エマside】

「じゃレイもAも足折ればいいよ」

手を挙げて提案すれば、2人はポカンとした顔を浮かべた。

ノーマンなんて今までにないくらい目を見開いてる。

「いいでしょ？ねっレイ、骨折しよう！」

「エマ何言って……」

「あのね────」

なんでこんなことを提案したのか説明した。

さっきノーマンは私達の誰かが代わりに出荷されるかもしれないって言ったけど、ハデに怪我してる私が代わりに出されることはないと思う。

私達は“高級品”で“特別”。出す時はちゃんとしてないといけないなら、代わりに出されるならレイかA
。

「だから、レイもAも大怪我しちゃえばきっとすぐに出荷されないよ！」

「そんな馬鹿な……」

確かに馬鹿かもしれない。

けど私は大真面目だ。

全部を説明し終えると、レイはお腹を抱えて笑い出した。

「その手があった！よし折ろう！！」

「レイ！？」

やったね！

「けど、別に腕でよくね？」

「あ、そっか！じゃあ腕にしよう！けど、Aになんて説明する？？」

「んー……一か八か“骨折ってくれ”って言ってみるか？」

「それで無理なら……？」

「階段から突き落とす」

「それ危なくない！？他のところ打ったらどうすんの！？」

「そこは加減する」

「えー……」

怖い。レイの顔がマジだ……。

……うん。 Aには捻挫してもらおう。うんそうしよう。

「いや待って！」

レイと2人で骨折について盛り上がっていた時、さっきまでぽかーんとしていたノーマンが声をあげた。

「必ずしも怪我をすればすぐに出荷されないとは……」

「じゃあめっちゃ風邪引く！！」

「──！？？」

「病気の時のは食わんだろってことね」

「そんな……」

それで無理ならまた考える。

私もレイもなんだってしてやる覚悟だ。

何も知らないAに迷惑をかけるのは心が痛いけど、けど、これが終われば全部話す。

────きっと分かってくれる

それでもただ1人、ノーマンは分かってくれない。

「なんで……」って聞かれたからさも当然のように私は言ったんだ。

「ノーマンが死んじゃうより全然いいよ！！」

前に言ってくれた。

“みんなで一緒に”ここから逃げよう……って。

私は────

「“みんな”の中にノーマンがいなきゃ嫌だ！！」

「一緒に生きよう？ ────ノーマン」

「うん…………」

か細い声が耳にストンと落ちた。