ラナンキュラス (ページ9)

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休憩が終わり内定式が再開される
マイクに立ったのは面接の時に俺に説明をしてくれた人

「皆さん初めまして人事部の青木です。
　続いては部門紹介になります。
　今回は入社2年目の方を中心に部門紹介して貰いました！
　最後に質疑応答やアンケートも行います。ではご覧下さい。」

青木さんが頭を下げてマイクの前からいなくなると
室内が薄暗くなり部門紹介の映像が流れ始める

部門ごとに部門名と紹介者名の名前のみのスライドが出てきてから
実際に紹介者がどんな仕事をしている部署なのか話すというスタイル
この会社はあの人と同じ苗字の人が多いらしく
“A”と名前が書いてあるだけで
あの人かな？！と期待しながら見ても違う人が出てきてガッカリする

「人事部の青木です。人事部は…」

待ちかねていた人事の部門紹介で出てきたのは
さっき話していた青木さんだけで彼女の姿はない

次の営業部で最後らしいからもうないかなと思っていたら
映し出される“営業部元木・A”のスライド
え？え？営業？まさかね？

「営業2課のAです。営業部では…」

『…いた』

まさかのタイミングで出てきたあの人
画面の中にいる彼女を見つめながら真剣に話を聞く
俺の適正だと人事はまずないだろうから
正直営業だったら同じ課になる可能性もありそうで
むしろラッキーかも

脳内で色々考えているうちに終わった部門紹介

「光輝？アンケート来たよ」

『…え？あ、わり。』

俺の右側の人がアンケートを回そうとしてるのに
無反応だったからか光成が肩を叩いて言ってきた
“ごめんなさい”と謝ってアンケートを受け取り
1枚取ると光成に渡す

アンケートを見ると光成が言っていた通り
“気になる部署は？“の設問
周りから人の懐入るの上手い！とか言われることも多いし
俺自身人と接する仕事が向いていると思う
あの人がいるってのもあるけど
俺は迷わず“営業部“に丸をつけた

気になる部署は2部署書かなくてはいけなくて
もう1つの部署をどうするか迷っていると

「どの部署がいいか迷ってるのかな？」

俺に声をかけてきたのは青木さん
考え込んでたから見かねて声をかけてきたみたい

『そうなんです。第一は決まったんすけど』

記入済みの紙を見せると
“営業ねぇ”と言いながらニコニコしてて
なんでだろう？と疑問が沸く

「第二はね必須じゃないから書かなくても大丈夫だよ」

そう言って青木さんは俺の元から離れた