ラナンキュラス (ページ6)

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内々定の通知が来た後は他の企業を受けることなく
最後になる学生生活を満喫した

渉達と海外旅行に行ったり
一人暮らしする予定だからバイトしてお金を貯めたり
もちろん卒業できなかったら元も子もないから
卒論もちゃんと進めてたけどね

充実した日々を過ごしているとあっという間に
秋になって無事に内定も決まり
届いた内定承諾書類を投函しホッと一安心した所で
明日はいよいよ待ちに待った内定式
楽しみ過ぎてなかなか寝付けなくて
どうせ起きてるだろう渉に暇電をかける

『もしもーし』

「…なに」

『暇電しよーよ！』

「いや、俺寝るし！」

“てか今何時かわかる？時計見た？“なんて若干キレ気味の渉
そんなこと言って誕生日とかピッタで連絡してくる奴が
今更何を言ってんだよと軽くスルーして話を続ける

『だってさー明日だよ？どんだけ待ってたと思うの？』

「ほんとさ高校の奴らに今の黒田をみせたいわ。
　あれから一切行かなくなったもんね。合コンとか」

『俺、あの人しか眼中にないから。出会い求めてないから！』

自慢じゃないけど特定の彼女は作らず結構遊んでたと思う
本気の恋って今回初めてかもしれない
だってさ運命的なのがいいじゃん？

「内定式で再会しても直ぐにグイグイいくなよ？
　入社してからでも遅くないんだから」

『わかってるって！流石に内定式では大人しくしてるよ！』

ほんとかぁ？って言われるけど印象悪くしたくないし
本当はグイグイ行きたいけど我慢我慢！

それから渉とくだらないことを話してるうちに
段々と眠くなってくる

『そろそろ寝れそー』

「ああ、そりゃよかったな。
　俺、付き合ってあげるのマジ偉いわ」

『ほんとありがと。付き合ってくれて
　じゃ。明日楽しんでくるわ』

“おー。それじゃーな”という
渉の声が聞こえてすぐ切れる通話
これでよく眠れそうだ