ラナンキュラス (ページ50)

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勝手に送られてたメッセージは
気に病む暇も無く直ぐに返事が来て決まった予定

約束の日
定時も過ぎ残業しないで直ぐに会社を出る
出来ればAさんより先に着いていたかったから

約束の居酒屋に入るとまだAさんの姿はなく
ホッと肩を撫で下ろす
だって待ってたいじゃん？そのほうが俺としても心に余裕ができるしね

それから少しして部屋の前で止まった足音の後にゆっくり襖が開く

「黒田くん待たせてごめんね」

久しぶりに見たAさんの姿に胸が高鳴る
やっとAさんに会えたと嬉しさが溢れ出して
やっぱり俺、Aさんが好きなんだなって再確認した

『A先輩になかなか会えなくて寂しかったです！』

素直に思いを伝えるとAさんが少しだけ複雑そうな顔
なんでそんな顔で俺のこと見るの？

「ほんと久しぶりだね。部署が違うとなかなか合わないし」

『俺が行っても席にいないんですもん！』

いつ行っても打ち合わせしてるか席にいなかったもんAさん
そのことを思い出して顔を膨らませるとフフッと笑ってくれた

それから仕事でどうだったとか休みは何してたとか
会わなかった間のお互いのことを話してたんだけど
途中何回かあの噂の話について振ろうとすると
それに気づいてなのかサッと躱されて全然話が出来ないでいた

言えないままでいるといい時間
いつもならそこまで酔わないAさんがかなり酔っていて

『ちょ、A先輩飲み過ぎですよ！』

Aさんが立ちあがろうとして倒れそうになるから隣に移動して支えると
俺の腕を掴んで急にポロポロと泣き出す

「私のこと好きって言ってたのに…なんで彼女作るの？」

え？もしかして嫉妬してくれた？
噂のことを知っててわざと知らないふりして続けた言葉

『え？彼女ってなんの話？』

キョトンとした顔でAさんを見つめると
今度はムッとした顔

「私、黒田くんのこと好きなのになんで？
　私のこと好きって言ったのに。」

あーやっとだ。
やっと俺のこと好きになってくれたんだ。
そう思うと愛しくてAさんを引寄せ抱きしめる

「なんで笑ってるの？」

『だって嬉しくて。A先輩、俺のこと好きになってくれたんでしょ？』

顔を赤らめるAさんを
抱きしめたままゆらゆらと揺れる

『俺、彼女なんていないし。ずっとA先輩のことしか見てないし』

Aさんの顔を包み込み目線を合わせて伝えた言葉

『Aさん、俺と付き合お？』

その言葉に笑顔で頷いてくれたんだ