ラナンキュラス (ページ46)

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『…って訳』

3人に話したのは、Aさんと初めて飲みに行ったことや
異動の話をされたこと、他には日常であったことを話す
渉と光成は出会いの話から知ってるけど
何も知らない長瀬はキョトン顔

「え？もしかして黒田くんが好きな人って
　企画部に異動してきAさん？」

『うん、そうだよ』

あーこれで繋がったわと納得した顔をする長瀬
じゃあ、あの時の電話も
前の飲み会で話してた人もかぁ全部そうなのかーと呟いてる

「黒田さ、俺思うんだけど。
　一旦距離置いてみれば？」

ずっと黙っていた渉が口を開いてそう言った
え？距離置く？

「俺もわたの意見に賛成」

光成までなんで？

「追いかけるのもいいけどさ、黒田もちょっと落ちてるし
　その、Aさんも新しい環境で慣れるのに精一杯だろうし
　少し距離を置いてみるのもいいんじゃん？って思って」

「離れてさ、今まであったものがなくなると
　急に寂しくなるって言うじゃん？
　それでAさんがもし光輝に対して恋愛感情ないなら
　また頑張ればいいし、そうじゃなくて少しでも光輝のことが
　気になるなら何かすら態度や行動に出るはずだよ」

言われてストンと心に落ちてきた
確かに2人に言うようにちょっと距離を置くっていうか
自分からの連絡を控えてみるのもいいかな？って
いつも追いかけてばかり。
それが嫌な訳じゃないし、俺が好きなんだから当然だけど
たまには気にしてもらいたいっていう感情は確かにあるから

「俺も！詳しく状況は知らないけど
　距離置くのいいと思います。
　今、Aさんがついてる人がなかなかの曲者で…
　入ったばっかの俺でも感じてるくらいなんで。
　多分なんですけど、今黒田くんに何言われても
　逆にAさんの負担になっちゃうんじゃないかと」

確かにそうかもしれない
長瀬に聞いた状況には驚いたけど
弱みを見せられないAさんだから
俺が何を言ってもきっと笑顔で大丈夫って言って
逆にそれが彼女に無理をさせちゃうだろうから

飲んでいたお酒を一気飲みして

『俺決めた！一旦恋愛休憩します！』

そう3人に宣言すると
新しい缶を開けて再び飲み始めた