ラナンキュラス (ページ35)

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「黒田くんいい感じだったよ！」

先方との打ち合わせを終えて
今は駅に向かって歩いている最中
我ながら結構いい感じに説明できた
検討してみるって返事ももらえたし
Aさんにも褒めて貰えるしでもう最高！

腕時計で時間を確認すると
会社に戻ると定時の時間を過ぎてしまう

「黒田くんちょっと待って」

急に腕を掴まれて立ち止まる
え？急にどうしたんだろうとAさんを見ると
“部長に電話するから“と一言
あ、これチャンス来た感じ？と期待に胸を膨らませる

隣でドキドキしながら電話の内容を聞いていると
話の途中で俺にOKマークをしてくる
これ直帰できる感じじゃん！と喜んでいるのも束の間
Aさんからは“私は社に戻るんで”と言葉が出てて
“あーお願い部長！戻らなくていいよ“って
言ってくれーと心の中でお祈りをした

「黒田くん、部長が直帰していいって」

『マジっすか！めっちゃ嬉しいっす！
A先輩も直帰ですか？』

「うん、戻るって言ったんだけど
　帰っていいって。だから私も直帰するよ」

よし！チャンスきた！！と
喜びを前面に出しながらスマホを取り出し店を探す
駅に着く前に探さないとね

「じゃ、黒田くんここで解散しよっか」

駅に着いて改札を通る前に立ち止まるAさん
え？解散？嘘でしょ？なんで？

『静香先輩、帰るんですか？』

どこか行く用事でもあるんですか？なんて
ちょっと失礼かもだけど
ここは素直に不貞腐れてますって感じ前面に出す

「え？ないけど黒田くんこそ用事あるでしょ？」

なんでそうなんの？意味わかんない

『俺、一言もそんなこと言ってないんですけど…』

「そうなの？スマホ弄ってたからてっきりデートでもするのかなーなんて」

は？デートなんてする相手いないし！
てか、俺はAさんとデートがしたいの！
全然男心分かってないじゃん！
ここはもうはっきり言うしかない

『違いますよ！俺、静香先輩と飲みにでも行けたらなと思って店探してたんです！』

俺の言葉に口元に手を当てて驚いた顔をするAさん
そんなAさんの目をじっと見て

『これから行きません？俺と飲みに』

ストレートに誘ってみると俺の真剣さが伝わったのか
少ししてから首を縦に振ってくれたAさん
逃さないようにAさんお手をとると2人で店へと向かっていった