ラナンキュラス (ページ34)

今日:48 hit、昨日:92 hit、合計:82,196 hit

34 ページ34

例の営業先へ行く日

「黒田くん行けるー？」

『はい！A先輩、大丈夫です！』

鞄に資料を詰め込んで先を歩く
Aさんの後に走って追いつく

「忘れ物ないよね？」

『新商品の資料もさっき入れたんでバッチリです！』

最近は仕事にも余裕が出てきて
必要なものとかもわかってきたし
先の動きがわかるようになってきたって感じ
この前も多分いるかなーって思った資料を作って
Aさんに見せたら驚かれちゃったしね！

場所的に車では行きにくいからと電車移動
電車に乗り込むと日中だから空いていて
二人並んで席に座る

「黒田くん、今日はちょっと帰り遅くなっちゃうかも」

『結構遠いですもんね。電車も長く乗りますし』

「そうなんだよー電車移動も長いけど駅からも結構歩くんだよね
　後、担当の人お喋り好きだから」

この前元木さんが言ってたことと同じことを言うAさん
いい人なんだけどねーと笑ってる

「あ、せっかくだから今日は黒田くんに説明してもらおっかな？」

『え？俺ですか？』

「うん。資料も黒田くんが作ってくれたのだし
　これから一人で営業ってこともあるから練習も兼ねてね。」

そういえばエルダーって3ヶ月間だけなんだっけ…
もうすぐ俺も会社に入ってそれくらい経つし
こうやってAさんと居られる時間も無くなっちゃうんだな

「もしかして、不安？」

俺が何も答えないから“どうしたの？“と顔を覗き込んでくるAさん
何考えてたかなんてAさんは知らないからね

『いや、初めてなんで緊張するなって』

“私もフォローするから安心して“っと
ポンと俺の肩を叩いたAさん

「黒田くんのデビュー戦楽しみにしてるね？」

こんな時に可愛い顔で言ってくるのほんと罪なんだけどと思いつつ
よし！今はAさんの期待に応えることが優先！と頭を切り替えた