ラナンキュラス (ページ25)

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定時のチャイムが鳴り黒田くんを見ると
一生懸命パソコンで業務日誌を打っている

「黒田くん、定時過ぎたからそれ終わったら帰っていいよ」

『わかりました！A先輩！』

黒田くんはなんとしてでもA先輩と私のことを呼びたいのか
何か私から言われる度に必ず名前を呼んでくるのは気になったけど
それ以外は本当にいい子で
分からない事は素直に聞いてくれるし
聞いたことはちゃんとメモをしてる
他の部署の子が挨拶にきた時も明るく元気でいい感じだ

『A先輩、終わりました！』

キラキラの笑顔で気のせいだろうけど“褒めて！”って
言って欲しげな感じ満載で終わったと言ってきた黒田くん

「お疲れ様、明日はお休みだからゆっくり休んでね。」

『A先輩もゆっくりしてくださいね！
　それじゃお疲れ様です！』

黒田くんの後ろ姿を見送ると
自分の業務に取り掛かった

「A先輩！」

「えーなにそれぇ」

鞄を手に持ち現れたのは最近デフォルトになりつつある
ニヤついた顔の湧となにも知らない平塚くん
黒田くんとの会話をたまたま隣のブースにいた
湧たちに聞かれてて揶揄われている

「無視かよ！
　金曜なんだからさーいつまでも仕事してねーで飯いこーぜ飯！」

「そうだよぉー湧の奢りだからAちゃんもいこーよ」

「えーどうしよっかなー湧の奢りだし行こうかな！」

「そうこなくっちゃ！」

「おい！俺奢るなんて一言も言ってねーぞ！！」

せっかくだし誘いに乗るかと帰る準備を始めた

3人で向かったのは平塚くんおすすめの洋食屋
お腹も空いてたしハンバーグセットでガッツリね

「ねー黒ちゃん有名人だよぉ」

後、湧の所の檜山くんもーと平塚くん
平塚くんのいる総務課は女子社員が多いから
挨拶行った時にかっこいい子来たって軽く騒ついたらしい

「あーあいつら無駄にイケメンだからなぁ」

「無駄って笑湧も平塚くんも可愛いーって言われてたじゃん」

「後、青木くんもねー」

途中平塚くんがお手洗いに行き湧と2人

「どう？黒田」

「どうって、んー悪い子じゃないけど…」

「まーさ、あいつなりに一生懸命なんだろうし
　みんなと仲良くなりてぇって気持ちも
　分からなくないじゃん？
　お前もエルダーだからって固くならずにさ
　気楽にやればいいんじゃね？」

俺、みたいにな〜ってモグモグしながら言う湧の言葉に
少しだけ救われた気がした
黒田くんはちょっと距離感近いけど
それが悪いことって言う訳じゃないしね！