ラナンキュラス (ページ24)

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元木さんに言われた通り
5分前に事務所に戻ると既に席にいるAさん

『先輩！お疲れ様です！』

直ぐ様Aさんに駆け寄り
座るのを忘れて立ったまま声をかけると
振り向いて“黒田くんお疲れ様“とニコッと笑って
言ってくれたんだけどすんげー可愛いの
あーやばいこれだけでも幸せ

けど俺には幸せに浸っている暇はない
どうにか名前で呼ぶ方法をさっきまで必死に考えてて
本人に許可取っちゃえばいいじゃんってなって
早速Aさんに名前で呼んでいいですか？って聞こうとした所で
タイミング悪く休憩を終えるチャイムの音で遮られた

「さ、午後は業務の説明するから打合せスペースに行こうか」

Aさんに言われてパソコンとかを持って後ろをついていく
打ち合わせスペースに着くと向いあって席に座る
さっきはタイミングが悪かったし、
今はAさんが準備をしてるから雑談してもいいだろう

『先輩？』

「んー？どうかした？」

『先輩ってみんなに静香さんって呼ばれてるんですね！
　俺もこれから名前で呼んでいいですか？』

俺の言葉を聞いた瞬間
準備していた手を止め俺の顔をじっと見るAさん

「あのね黒田くん。ここは会社なの。わかるよね？」

あれ？ちょっと怒ってる？
早まりすぎたかな…
でも！ここは押していかないと

『えーダメですか？』

「いいとかダメとかじゃなくて…」

『じゃあ、A先輩って呼ぶならいいですよね？
　俺、早く先輩と仲良くなりたいんで！ね！静香先輩！』

懇願するようにAさんを見つめる
これでダメだったら一旦引くしか

「はい、この話は終わり！業務の説明するよ？」

ちょっと強引だったかもしれないけど
その後、俺がA先輩って呼んでも
なにも言ってこなくなったから
呼んでいいってことでいいよね？

今はA先輩で我慢するけど
いつの日か“先輩“ってつけないで
呼べる日がくるといいな