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「いつ帰ってきたの?」
「さっき」
「さっき?」
思いがけない返事に優希は飲んでいたお酒を吹き出しそうになる。
いくらなんでも、さっきってことはないだろう。だが禄朗は航空チケットを証拠だといわんばかりに目の前に差し出した。
確かに日付は今日で、つい数時間前に日本に到着している便だった。
「ほんとだろ。で、ここに来て、おまえの連絡先探して__勝手に電話変えただろ」
探すの大変だったんだぞーと、彼は唇を尖らせた。
「とりあえず同級生の知ってるやつ全員にかけた」
「全員に?!」
「うそ。そんなにかけてないけど、でも懐かしかったなー」
不満そうにしながらも顔は笑っている。
「同窓会するかって話にもなったから、おまえも来るだろ?」
「考えとく」
優希と禄朗は大学の同級生だった。
一緒にいたころを思い出して切なさが襲ってくる。ただ幸せで満たされて世界は自分のためにあると信じてしまいそうな日々。同時にすべてを失った時の喪失感も、もれなくセットでついてくる。
勝手に優希を捨てて海外に行ってしまったことも忘れたかのような態度にため息をついた。
「お気楽だな」
「そうか?」
「人の気も知らないでさ」
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モノモノ(プロフ) - 花奏さん» 普通に続きますよ。この後も悲劇の連続なので、書くのが苦しいです(>_<)でも頑張って続き書いていくので、よろしくお願いします! (2021年4月12日 7時) (レス) id: 995658f693 (このIDを非表示/違反報告)
花奏(プロフ) - これ続きますよね、?深夜ながらに泣いてしまいました……。とっても素敵に物語が動いていて、私の心情が左右しまくっています! (2021年4月11日 23時) (レス) id: ed1d1a00c3 (このIDを非表示/違反報告)
モノモノ(プロフ) - 夜市さん» わざわざ感想ありがとうございます。情景描写の書き方は今でも尚苦戦します。亀更新になりますが、よろしくお願いします。 (2021年4月7日 22時) (レス) id: 995658f693 (このIDを非表示/違反報告)
夜市 - 情景描写や心情の表し方がとても繊細で、素敵な話ですね。お体に触らぬ程度に更新、頑張ってください。 (2021年4月7日 14時) (レス) id: 5befe0aadf (このIDを非表示/違反報告)
モノモノ(プロフ) - 花奏さん» 感想ありがとうございます。明日美ちゃんが可哀想になってきたけど、頑張って更新したいと思います。 (2021年3月10日 8時) (レス) id: 995658f693 (このIDを非表示/違反報告)
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