三章(肌色・ キ スマーク注意) ページ11
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強い空腹を感じていい加減何か食事をしなければと体を起こすと、全身に散らばる情事の跡が生々しく浮かび上がっていた。
「……やらしい体になっちゃったね」
禄朗はベッドに横たわったままひとつひとつ、自分がつけた痕を指でたどった。施されるその刺激でさえ敏感に感じてしまうコントロールの効かない身体に不安さえ抱く。
「責任取ってよ」
ため息交じりに訴えると、彼は面白そうに瞳を輝かせ気軽に答えを返してきた。
「優希が望むならいいよ。責任取る」
「またそうやって適当なこと言って」
適当な言葉でその気にさせておきながらあっさり捨てていくのだ。禄朗という男は。嫌というほど学んできた。
「えー、本気で言ってるんだけどな」
悪びれることなく続ける彼を軽くにらみつけると、むき出しのお尻を軽くたたいた。引き締まった尻肉がぺちんと軽い音を立てる。
「いて」
「よく言うよ。それよりお腹すいた。……何時?」
ベッドサイドに転がって落ちた時計を拾って見るとどうやらまだ深い夜の時間帯だった。あれからそんなに経ってないのかと首を傾げつつ、携帯の電源を入れて確認して驚いた。
日付がかなり進んでいる。どうやらベッドの上だけで二晩過ごしてしまったようだった。おなかがすいて当たり前だ。
それに、明日美からの着信とメールが何件も届いている。
無理やり電話を切って以来何の音沙汰もなく電話も通じなくなっていて、きっとものすごく心配しているだろう。彼女が不安に過ごすだろうことを全く考えてあげられなかった。
その上、名前を呼ばれたというだけで明日美にひどく嫉妬してしまった。彼女には何の落ち度もないのに。
「優希?」
携帯を見つめたまま固まった優希を後ろから抱 きしめて、禄朗が囁いた。
「明日美ちゃんに連絡する?」
「……いや、いいよ」
今更電話したところでどうにもならない。どんな顔をして話せばいいのか想像もつかなかった。
禄朗に会おうと決めた瞬間から穏やかで幸せと思えた日常は手放したのだ。
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モノモノ(プロフ) - 花奏さん» 普通に続きますよ。この後も悲劇の連続なので、書くのが苦しいです(>_<)でも頑張って続き書いていくので、よろしくお願いします! (2021年4月12日 7時) (レス) id: 995658f693 (このIDを非表示/違反報告)
花奏(プロフ) - これ続きますよね、?深夜ながらに泣いてしまいました……。とっても素敵に物語が動いていて、私の心情が左右しまくっています! (2021年4月11日 23時) (レス) id: ed1d1a00c3 (このIDを非表示/違反報告)
モノモノ(プロフ) - 夜市さん» わざわざ感想ありがとうございます。情景描写の書き方は今でも尚苦戦します。亀更新になりますが、よろしくお願いします。 (2021年4月7日 22時) (レス) id: 995658f693 (このIDを非表示/違反報告)
夜市 - 情景描写や心情の表し方がとても繊細で、素敵な話ですね。お体に触らぬ程度に更新、頑張ってください。 (2021年4月7日 14時) (レス) id: 5befe0aadf (このIDを非表示/違反報告)
モノモノ(プロフ) - 花奏さん» 感想ありがとうございます。明日美ちゃんが可哀想になってきたけど、頑張って更新したいと思います。 (2021年3月10日 8時) (レス) id: 995658f693 (このIDを非表示/違反報告)
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