【HiGH＆LOW】Untitled Diary -気づいたもの- 2

Untitled No.59 ページ9

‥









ララから事情を聞いて愕然とした。
まさか、こんなに突然に。
いや、予想できてた癖に目を離していた。
大切な、家族を。



迎え、ですらなかった。
子供が受けるべきではない、暴力。
そんなのは生きるための手段なのであって、理不尽に振りかざしていいものなんかじゃない。
……普通の人から見れば、 "どんな暴力もいけない" なんて、ドラマや映画で言うような綺麗ごとを吐くのだろうけど。



荒らされた砂地。
崩れたダンボールや木箱。
靴跡の深さが、どれだけ力強く脚を地面にこすりつけていたかを表しているよう。
どれだけ強く、あいつに力を入れて殴る蹴るをしたか。









スモーキー「……」


ピー「スモーキー」


ララ「ぐすっ……ひっ……く、お兄ちゃん……
　ごめん、あたし……」


タケシ「……っ」


スモーキー「……皆を集めろ」









スモーキー。
はっとして、我らがリーダーの表情を見る。
そこにいたのは、



傷つけられ理不尽に引き離された家族への想いが、
顕著に表れていた、
無慈悲なる街の亡霊そのもの。



俺らがなんで "亡霊" と呼ばれているのか。
その所以(ゆえん)を、今見せる時。









ピー「……待ってろ」









力みすぎたのか、口の中に広がる鉄の味を感じた。
夜の帳が降りる頃、亡霊達は家族を助けに向かう。


1羽の、籠の中に押し込められた梟(ふくろう)を助けに。









‥

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