CROWN No.91 ページ41
‥
彼は、親であるふたりを『彼』『彼女』と言っていた。
それはつまり、自分とふたりを切り離していると言うこと。
彼にとって、ふたりは "消し去りたい対象" そのモノであり、また "軽蔑の対象" として存在している。
彼女とは16年、彼とは数年、一緒に暮らしてきた。
簡単に忘れることなんてできない。
少しでも自分の創り上げる道に人と交わることがあれば、それは記憶として、また思い出として残る。
それは、滅多なことではない限り忘れることはない。
親、兄弟、その対象は様々だけど、数ヶ月も関わりがあればその先忘れることなどほぼない。
それが、この人を苦しめている。
今この廊下の真ん中で、私に向かって、苦しみながら笑顔を無理に貼りつけているこの人を。
"忘れられない" と言うその記憶が、彼を鎖に繋いで沈める。
楽しいことも絶対あったはずが、自分に都合の悪いモノばかり思い出されてリピートされる。
楽しいと思えるはずのひと時でさえそれ以外のモノに埋もれていった。
もう想い出すことのできないそれを……
A「貴方はただ、 "軽蔑" してる」
涼太「……」
A「『モノから取り出すことのできない想い出』が、貴方は嫌いになってしまっている」
涼太「まさか」
はっ、と嘲り嗤う涼太。
でも、口角までは嗤えていない。
A「親はとっくに、貴方とは関わりのない人物。
でもそう思っているせいで、楽しかったはずの記憶も全て他人ごとのように感じてくる。
それは、貴方から全ての想い出を奪う」
だけど。
A「消した……消えているはずなのに……
貴方には記憶も思い出も想い出も全部残っている。
"軽蔑" することでしか消したことにできない」
──たとえ、それが貴方の中にまだ残っているとしても
そう言おうとした途端。
涼太「黙れ」
一瞬で、身の毛がよだった。
怒りに震えたそのおぞましい顔で、わなわなと口から言葉をそう吐き捨てて、彼は私の言葉を遮って浴場へ入っていった。
人には、誰しも触れられたくない過去がある。
たとえ知られてしまったとしても、自分から話したとしても、相手に自分の核心は突かれたくはない。
触れられたくないのだから。
……まただ。
裕太の時と同じ、 "あの表情" を。
私が "恐怖" として捉えた、 "あの表情" 。
A「……に」
ああ、やってしまった。
‥
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な - 昨日見つけてここまですぐ読んでしまいました！凄くみんなの過去が気になって惹き込まれます！！！これからも応援しています！ オチは裕太くんか隼くん希望です！ (2018年3月5日 12時) (
レス) id: f0e5b106b0 (このIDを非表示/違反報告)
ぐっちー(プロフ) - いつも見ています！主人公の過去が気になって、いつもドキドキしながら見てます！これからも頑張ってください！応援してます！ (2018年1月25日 19時) (レス) id: 900406c4cd (このIDを非表示/違反報告)
星華(プロフ) - 初めまして！楽しく読ませていただいています。オチは誰でもいい気がしてきました笑頑張ってください！ (2018年1月25日 18時) (レス) id: f0eebf7f9c (このIDを非表示/違反報告)
和佳奈(プロフ) - これからどんな風になるのかどんな過去があるのかすごい気になります！！オチは龍友がいいです！これからも頑張ってください！ (2018年1月25日 2時) (レス) id: 74371510d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！前にオチは亜嵐くんがいいって言ったんですけど、読めば読むほどどのメンバーのオチも気になって仕方がないです笑 でも1人にしぼるなら亜嵐くんで！ 大変だと思いますが、頑張ってください！応援してます！！ (2018年1月23日 11時) (レス) id: fea3c16bd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kyoh.
| 作成日時：2017年11月12日 20時
