【BIG CITY RODEO / GENERATIONS】 CROWN 2

CROWN No.85 ページ35

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パタンと、背中でドアを閉めれば、しんと静まる。
聴覚障がいにでもなったんじゃないかって思うくらいに、さっきまでずっと耳を劈いていたビートも人々の叫びも、心臓の拍動を無理に自分と引きつけようとしている合成波ですら、ぷっつりと世界からなくなってしまったみたいに今では微塵も感じられない。



少しの間無音を感じていたから、視線が自然と下を向いていた。
はっとして前を向ければ、『いつまでそうしてるの？』とでも言いたげな亜嵐の笑顔。
横を向いていた自身の身体をこちらに対させて、改めて手招きをする。



がんがんと衝撃だけ残る頭に嫌気が差しながらも、亜嵐の元に足を進める。
さっきまで亜嵐と話していたらしい男の視線が刺さる。



男の黒髪は、ハーフアップにまとめ上げている。
刈り上げに顎髭と言う出で立ちが、何だか極道を連想させるのだけど、どことなくそれだけじゃない気がして。
亜嵐とはまた違ったモノトーンコーデ。
革ジャンに、ブーツに、ぎらぎらのアクセサリー。
彼は私をまじまじと見ると、『やあ、初めまして』と微笑んだ。









亜嵐「こちら、監獄長」


A「えっ？」


HIRO「どうも。監獄長じゃなくて、HIROでいいよ。
　響きが悪いしね、暗くなるのはどうも苦手で」









HIRO、さん。
"監獄 TRIBE" のトップ……ってことでいいのか。
もちろん、その上にもまだ色々いるんだろうけど。
〇〇刑務所、と言う言い方をしないところが、不思議。
苦手と言うが、じゃあ何で監獄だなんて名づけたのか。



『どうも』と軽く頭を下げる。
そしたら、『初見だと人見知りさを発揮するところ、玲於みたいだね』と言われた。
……え。









亜嵐「嫌そうな顔」









ははっ、と笑って亜嵐が言う。
亜嵐が指差すので、自分の眉間にしわが寄ってることに気づく。
すっと無表情を決め込めば、HIROさんは高らかに笑う。
あの悪戯好きの、どこが人見知りなのか理解できない。









HIRO「ははっ、面白い子が "CROWN" になったね。
　また、亜嵐の見立て？」


亜嵐「また、とか言わないでくださいよ！
　前は玲於でしたよ？」


HIRO「いや、ふたりが主なのは当たりでしょ」


亜嵐「……否定はしません笑」









監獄長と、特権階級の囚人。
以前から交流があるのは断言できそう。
この様子だと、 "BIG CITY RODEO" は監獄長の認定が降りていると言うことになるのだけど。



‥

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