CROWN No.72 ページ22
‥
──死体遺棄罪
涼太「……大したことないって思った？」
A「っ、まさか」
身内を、遺棄した。
山の中まで運んで、土の下に埋めた。
途切れ途切れに、絞り出すように彼は言う。
小さい声だったけど、きっと隣のリビングルームにいる龍友にも聞こえているんだろう。
ガタン！ と、椅子が倒れる音がした。
大したことないなんて、思うはずがない。
拳を握りしめる。
裕太の時は静かに聞けたのに、今は心臓がうるさい。
ドレッサーのところに置いてあった椅子を持ってきて、ベッドの傍に座った。
顔を見ることはできない。
私は壁の絵を見ながら、涼太の話を聞く。
『何でか、話したくなっちゃったんだよね』と涼太の声が笑っている。
涼太「捨てたのは、義理の父親」
A「……そう」
涼太「母親の再婚相手だった。でも、DVがひどくて。
当時俺は高校に入ったばっかだった。
ある日部活が終わって家に帰ったら……」
A「……話さなくても、いい」
涼太「いや、話させて。
家に帰ったら、家の中はめちゃくちゃ。
父親はリビングで仰向けに倒れてた。
その傍で、母親が放心状態だった」
リビングの入り口で、思わず落とした部活用のバッグ。
サッカーボールがバッグの中から転がり出して、母親だった人の足元まで転がっていく。
バッグの音とボールのぶつかる感触に気づいた母親は、ゆっくりと涼太のほうを振り返った。
地べたに座りこんでいるのに、背筋はぴんと伸びている。
ゆっくりと振り返った母親の表情が……
母『涼太……』
涼太『母さ、ん』
母『どうし、よ、ああ、』
涼太『落ち着いて、母さん』
母『うっ、あたし、ひぐっ』
仰向けに倒れた父親の顔をタオルで覆う。
かっ、と見開かれた目が、憎悪を感じさせた。
息子の帰ってくる時間帯に合わせて夕飯の調理を始めていると、珍しく早く帰宅した夫。
金をせびってくる夫に怯えながら断りを入れると、いつものように暴力を振るい始めた。
その日は帰宅する前から不機嫌で、キッチンにあった包丁を持ち出して、半ば脅して金を出せと言った。
沸騰した湯、流しっぱなしの水道。
夕飯の支度なんてしている余裕はなかった。
向けられた包丁と強欲な目の前の男に、ただ恐怖だった。
部屋中を逃げ回る。
当然のように追いつかれ、包丁の刃先を向けながら脅す男に、『金はない』と言う。
揉み合いになるふたり。
‥
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な - 昨日見つけてここまですぐ読んでしまいました！凄くみんなの過去が気になって惹き込まれます！！！これからも応援しています！ オチは裕太くんか隼くん希望です！ (2018年3月5日 12時) (
レス) id: f0e5b106b0 (このIDを非表示/違反報告)
ぐっちー(プロフ) - いつも見ています！主人公の過去が気になって、いつもドキドキしながら見てます！これからも頑張ってください！応援してます！ (2018年1月25日 19時) (レス) id: 900406c4cd (このIDを非表示/違反報告)
星華(プロフ) - 初めまして！楽しく読ませていただいています。オチは誰でもいい気がしてきました笑頑張ってください！ (2018年1月25日 18時) (レス) id: f0eebf7f9c (このIDを非表示/違反報告)
和佳奈(プロフ) - これからどんな風になるのかどんな過去があるのかすごい気になります！！オチは龍友がいいです！これからも頑張ってください！ (2018年1月25日 2時) (レス) id: 74371510d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！前にオチは亜嵐くんがいいって言ったんですけど、読めば読むほどどのメンバーのオチも気になって仕方がないです笑 でも1人にしぼるなら亜嵐くんで！ 大変だと思いますが、頑張ってください！応援してます！！ (2018年1月23日 11時) (レス) id: fea3c16bd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Kyoh.
| 作成日時：2017年11月12日 20時
