CROWN No.68 ページ18
‥
A「処刑場?」
男「本当に何も知らされていないんですね。
要は……私のような、ここで悪事を働いた者を閉じ込め、鎖で繋ぎ、拷問した上で殺す場所ですよ」
目の前で、Aちゃんの表情が歪んだ。
この3・4日、1度も表情を変えることはなかったのに。
隼と裕太くんから話を聞いて、どうしたら俺にも表情を見せてくれるだろうと思案していたのに。
いざ違う表情を見ると、Aちゃんのその顔は、俺にフラッシュバックを起こすのに充分だった。
部屋の中で起きた惨事。
俺に振り向いて泣き叫ぶ、母親。
走る夜道。
手についたのは土。
1ヶ月にも及んだあの凄惨な記憶が一瞬で呼び起こされる。
男「 "CROWN" 、貴方のことを調べました。
随分、すごいことをされたようで」
A「……やめ、」
やめろ、その顔を見せるな。
逃げ場をなくして、おろおろしているような。
俺に、そんな泣きそうな視線を送るな。
俺は……
涼太「うああああ!!」
男「?!」
「涼太!!」
両手で顔を覆って、俺はこれ以上ないくらい叫んだ。
ここに今いる自分が、時間が、判らなくなる。
膝から崩れ落ちた俺。
驚く男とAちゃん。
男の後ろから、俺の名前を叫んだ誰か。
その誰かは、男の後頭部に何かを振り下ろして。
男の手から離れる、拳銃とAちゃん。
Aちゃんは振り向いて、その誰かに驚く。
でも、すぐ俺のところに駆け寄ってくる。
俺は恐怖で身体の震えが止まらなくて、その場に
A「大丈夫?! ねえ!!」
「涼太!!」
ふたりに返事をする余裕はない。
俺の頭の中を駆け巡る記憶が、俺を締めつけるのが解る。
過呼吸になりかけたその時、俺の上半身を何かが包んだ。
背中に回った手。伝わる鼓動。
見開かれたままの俺の目。
A「落ち着いて」
涼太「はっ、はっ、はっ、…………はっ、龍友、くん」
龍友「僕はちゃんとここおるよ」
倒れ込んだ男は、駆けつけた相田さんと他のスタッフによってまた "B1" に連れていかれる。
廊下には、3人だけになる。
涼太「……Aちゃん」
A「私は平気だから」
その言葉を聞いて、呼吸は次第に治まってきた。
しばらく放心状態だったけど、俺ははっとして、
A「……っ」
龍友「涼太」
思わず、Aちゃんを突き飛ばしていた。
‥
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な - 昨日見つけてここまですぐ読んでしまいました!凄くみんなの過去が気になって惹き込まれます!!!これからも応援しています! オチは裕太くんか隼くん希望です! (2018年3月5日 12時) (レス) id: f0e5b106b0 (このIDを非表示/違反報告)
ぐっちー(プロフ) - いつも見ています!主人公の過去が気になって、いつもドキドキしながら見てます!これからも頑張ってください!応援してます! (2018年1月25日 19時) (レス) id: 900406c4cd (このIDを非表示/違反報告)
星華(プロフ) - 初めまして!楽しく読ませていただいています。オチは誰でもいい気がしてきました笑頑張ってください! (2018年1月25日 18時) (レス) id: f0eebf7f9c (このIDを非表示/違反報告)
和佳奈(プロフ) - これからどんな風になるのかどんな過去があるのかすごい気になります!!オチは龍友がいいです!これからも頑張ってください! (2018年1月25日 2時) (レス) id: 74371510d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぴよ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!前にオチは亜嵐くんがいいって言ったんですけど、読めば読むほどどのメンバーのオチも気になって仕方がないです笑 でも1人にしぼるなら亜嵐くんで! 大変だと思いますが、頑張ってください!応援してます!! (2018年1月23日 11時) (レス) id: fea3c16bd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Kyoh. | 作成日時:2017年11月12日 20時