CROWN No.26 ページ26
‥
フロアを客用の正面入り口から出て階段を降りて、そのうち従業員用の通路に逸れる。
この間も、客とすれ違ってはエレガントに頭を垂れる挨拶を繰り返しては歩く。
カツンカツンと、彼と私の靴が、冷たい石でできた床に音の波紋を作っていく。
アーチ型の天井にも波紋は反響する。
いつの間にか、人の気配は消えた。
ここに入る時に来た、グレーの空間。
スクリーンの向こうでは、女性が絶えず踊っている。
今、ここには誰もいないのに。
スタッフ「もう間もなく、ですので」
違和感を感じていることに、彼も気づいている。
私はそれに返事をしない。
そのまま、従業員用の広い通路に出る。
色は変わらず、グレー。
……やはり、おかしい。
彼は、本当に涼太に呼ばれたのか。
このままついて行って、果たしてその先に彼はいるのだろうか。
私の靴音が聞こえなくなったのを合図に、彼は勢いよく振り向いて、私の腕を掴んだ。
抵抗して、迫るもう片方の腕を払ったり膝蹴りをしたり、何とか彼から離れようとするけど。
ガタイのいい、彼の力はあまりにも強くて。
私の拳も脚も、まるで効かない。
スタッフ「大人しくしていてください、 "CROWN" 」
A「嫌！
呼ばれてるなんて嘘なんでしょう！」
スタッフ「他に思いつきませんでしたので」
A「……離、して！」
抵抗するのは体力がいる。
そのうち疲れてきて、不意に体の力が抜けてしまった。
その瞬間を逃してくれるわけはなく、地面にダンッと激しい音を立てて、彼は私の上に馬乗りになった。
彼の片手の中に、私の両手首が捕まってしまった。
そして、もう片方の手で絞め上げるのは私の首。
A「っ、く……？！」
スタッフ「スタッフと言う肩書きも、もう過去のこと。
バッジの色が変えられていたのには驚きました。
バレてしまうんじゃないかと、内心ひやひやしておりましたが」
じわじわと、私の気道を塞いでいく。
私は目を見開いて、彼の鬼のような形相を睨む。
口を大きく開けて呼吸しようとするけど、それは当たり前にできなくて。
──も、これ、以上……は
ぐにゃりと歪んで、私の視界が闇に閉ざされた瞬間。
重く硬い物が、滑らかなコンクリートの上に "コゥン" と落とされる。
それが靴の音だと理解するには時間が要った。
絶命直前の私には、それがすごく綺麗な音に感じられたから。
‥
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ピヨコ - はじめまして！！いつも作品を読ませてもらっています。本当にこの作品が面白くて読むのがとても楽しいです！ちなみに私は涼太君オチがいいです。これからも頑張ってください！！ (2020年3月11日 21時) (
レス) id: eb22d40d8e (このIDを非表示/違反報告)
じゅり - 今までにないストーリーに感動！とても面白いですね(*^ω^*) (2018年2月21日 15時) (レス) id: f641cbabc6 (このIDを非表示/違反報告)
みのよせ(プロフ) - 京羽さん» 楽しみにしてます!!このお話読んでたら、BIG SITY RODEOでこんなにも沿っててんで、内容も濃くてほんまに凄いと思っています!!語彙力無くてすみません…これからも頑張って下さい!! (2017年12月12日 12時) (レス) id: c92c0a9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
京羽(プロフ) - みのよせさん» 誤字の指摘ありがとうございました！ オチについてはめちゃくちゃ悩んでます！ 佐野さんの過去も楽しみにしていただけたら嬉しいです！ (2017年12月11日 17時) (レス) id: 25532f7237 (このIDを非表示/違反報告)
みのよせ(プロフ) - あの、突然すみません!!No.46だけかも知れませんがゆっぴの裕が祐になってます！このお話大好きで楽しみながら読ませてもらってます!!あ、オチは玲於でお願いします。あの可愛いれおたんが喜ぶとこを見たいだけです(笑)←これからも頑張って下さい!! (2017年12月10日 23時) (レス) id: c92c0a9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：京羽 | 作成日時：2017年10月18日 16時
