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CROWN No.22 ページ22






私だけでなく、 "彼ら" も自由行動らしい。
それはそうだ、7人固まって行動する必要などない。
ここは俗世から開放された空間として存在するのだから。



さすがにひとりは不安で。
でも、相田さんに『私は仕事がありますが、どうぞご自由に』とひとり放り出されてしまった。



地下3階に戻ったけど、どこを見ても彼らは見当たらない。
ここにいないとなると……あ。



たしか、相田さんが、地上にもダンスホールやカジノがあると言っていた。
彼らのことだし、彼らは地上にいるのかもしれない。









──何やってるんだか









彼らと一緒にはいたくないけど、ひとりで見知らぬ会場に放り出されるのは気が引ける。
必要以上にプライベートラインを越えてくる彼ら。
傍にいるのは一瞬、離れてしまうのも一瞬、と言われているみたいだ。



客用の階段を、地上まで上る。
他の客とすれ違えば、全員が私に向かって頭を下げた。
この身分はいいものだな、と心の中で悪態をつきながら、その都度挨拶を返す。



挨拶に気を取られすぎて、思わず上りすぎて2階についてしまった。
どのフロアにも誰かいるだろうと、下りるのを面倒くさがって、目の前に現れた黒の扉の前に立つ。
すると、両脇に控えていたスタッフが片方ずつギイと引き開けた。









──わ、あ……









ここもまた、黒と金、赤でデザインされたフロアだった。
それに、地下3階のメインホールより幾分か広いフロア。
辺りを見回せば、ダーツ、トランプ、コイン……ああ、そうか。ここは、カジノだ。



奥にはライトアップされた大理石の曲折階段があって、それはロフトのようになっている。
天井が高い上に、階段を登ればバーが見える。
だから、ここはまるで、ひとつのフロアなのにふたつのフロアがあるように感じられる。









──見当たらない、か









人混みを掻き分けてちょろちょろとカジノ内をうろつくけど、人が多すぎて見つけきれない。
途中、ホールスタッフが差し出してきたワイングラスを受け取って、匂いを嗅いでみる。
……お酒だ。



いくら踵が低いからと言っても歩き続けていれば疲れる。
だから、ちょっと諦めつつ壁際まで下がり、ワイングラスを転がしてはフロアに目をやる。



はあ、と溜め息をついてしまう。
諦めて、バーの向こうにちらりと見えるバルコニーに出てしまおうか。




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ピヨコ - はじめまして!!いつも作品を読ませてもらっています。本当にこの作品が面白くて読むのがとても楽しいです!ちなみに私は涼太君オチがいいです。これからも頑張ってください!! (2020年3月11日 21時) (レス) id: eb22d40d8e (このIDを非表示/違反報告)
じゅり - 今までにないストーリーに感動!とても面白いですね(*^ω^*) (2018年2月21日 15時) (レス) id: f641cbabc6 (このIDを非表示/違反報告)
みのよせ(プロフ) - 京羽さん» 楽しみにしてます!!このお話読んでたら、BIG SITY RODEOでこんなにも沿っててんで、内容も濃くてほんまに凄いと思っています!!語彙力無くてすみません…これからも頑張って下さい!! (2017年12月12日 12時) (レス) id: c92c0a9bd5 (このIDを非表示/違反報告)
京羽(プロフ) - みのよせさん» 誤字の指摘ありがとうございました! オチについてはめちゃくちゃ悩んでます! 佐野さんの過去も楽しみにしていただけたら嬉しいです! (2017年12月11日 17時) (レス) id: 25532f7237 (このIDを非表示/違反報告)
みのよせ(プロフ) - あの、突然すみません!!No.46だけかも知れませんがゆっぴの裕が祐になってます!このお話大好きで楽しみながら読ませてもらってます!!あ、オチは玲於でお願いします。あの可愛いれおたんが喜ぶとこを見たいだけです(笑)←これからも頑張って下さい!! (2017年12月10日 23時) (レス) id: c92c0a9bd5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:京羽 | 作成日時:2017年10月18日 16時

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