今日、母親始めます【BL×オリジナル】 (ページ9)

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9部屋目ページ9

翌日、僕は少し早く目覚めたので施設内を散歩することにした。幼い頃も早い時間に目覚めると施設内を徘徊(両親いわく迷子とか散歩のレベルではない)していたらしく、しょっちゅう先生(研究者達のこと)にお世話になっていたようだ。
成長した今はそんなことはないと信じたいが、あまり遠くまで行くと戻れなさそうだから辞めておこう。少し前に行動範囲外に行った時に迷子になりそうだったし。

「……静かだなぁ。みんな寝てるから、だろうけど赤ちゃんの声も聞こえないや」

ふふと笑いながら施設の中にある公園のベンチに腰掛けると空を仰ぐ。日光を必要以上に取り入れないようにするためにガラス製の天井があり、空を見ることは出来るが、直に見る空よりはくすんで見えるのだそうだ。律と大翔が言っていた。それでも少しくすんだ空の色が今の僕の全てであるから、それでいいような気がする。

「……なんか、眠い」

一つ欠伸をするとどんどん眠気が増し、そのまま目を閉じてしまった。柔らかな日差しが眠気を誘うのだろう。僕は野外(厳密に言うと屋内であるが)である事も忘れ、浅い眠りについた。

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