今日、母親始めます【BL×オリジナル】 (ページ27)

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27部屋目ページ27

エコー画面に映ったのは、よく分からない物体だった。素人目にはただそこに存在する小さな何か。
莉苑はどうかと彼を見やれば真剣な面差しでそれを見ている。彼にとって見るもの全てが教材に変わるのだろう。律と違いかなり若いから覚えも早い。

「……莉苑、あれ。あれ取ってきて」

「律、ジジくさい」

パーカーをたくしあげたまま言うと律は「ううううるせぇ」と言う。
30代にしてもうあれ、それで話をとおそうと思えるな。と思っていると莉苑はため息をつき、「レジュメとその他でしょ？持ってくる」と退場する。おい、お前大丈夫かよ。という意味も込めて、律を見ると、「憐れむような目をするな」と頭にチョップを食らった。

痛くはなかったが、「痛て」と反射的に声が出た。

「……持ってきたよー。母子？父子？手帳とレジュメと注意事項まとめた小冊子」

莉苑が持っている手帳には「母子手帳」と書かれている。

「おー、ありがとな。えーと、小冊子には生活面で気をつけることと、夜の──」

「律、それ自主規制入るから」

莉苑が突っ込むと律は舌打ちをし、レジュメの説明をする。

「……親子、教室？」

「子供の風呂の世話とか、マタニティヨガとか。ヨガはこっちのゴーサインがでてからやるやつな。まぁ、基本二人で出るやつが多いけど……、一応その日程表」

ふーん、と返事をしてそれらを受け取る。

「ああ、あとカウンセリングはいつでも受け付けてるらしいぞ」

律はそう言うと「ま、おめでとうさん」と言って寂しそうに笑んだ。

「……莉苑、ちょっと律と二人で話すことがあるから外してもらっていい？」

「ん？うん、飲み物は持ってきた方いい？」

「あ、大丈夫。すぐ終わるから」

莉苑を退場させ、律に向き直る。

「──あの、さぁ」