20部屋目 ページ20
「律歌、お前施設外で受けた最後の検診いつだ?」
お昼ご飯のオムライスを食べていると急に玉城さんが聞いてきた。6日前です。と言うと彼は少し考える素振りをすると白衣からスマートフォンを取り出した。
「玉城さんながら食いはいけないんですよー」
「うっせ、食ってねぇからいいんだよ」
莉苑君に咎められ、屁理屈を言う玉城さんに苦笑しどうしたのかと聞くと彼は「いや、予定を合わせておこうと思って」と答える。
「ああ、そういうことですか」
「……えーと、てことは……、明後日、か。莉苑、明後日9時頃に診察室連れてこい」
「はぁーい」
「診察室って遠いの?」
莉苑君に小声で訊ねると彼はここからはさほど遠くない。と答える。ということはここ以外の部屋からは遠いということか。と考える。
「ああ、でも向こう──えーと、施設外の人と番になった人達は別のところ使うことが多いかな。兄さんもこっち使うことになるだろうし、運が良ければ会えるんじゃない?」
そう言われ、そっか。と返事をする。
「……あ、莉苑。後で律にも伝えとけ。最近、俺機械に嫌われてるらしくてさぁー……」
「自分で言ってくださいよ。ってか、機械いじるのがめんどいだけでしょ」
「いやいや、ほんとに嫌われてんだって。前に検診で機械使おうとしたら──」
「はいはい、はいはい。明日にでも言っておきますよ」
莉苑君は玉城さんの言葉を遮り、返事をする。そしてざくざくとスプーンでオムライスを一口大にするとそれを口に入れた。俺も黙って聞いていたが、多分これ以上は何も話はないだろうと思い、オムライスをつつく事にした。
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腐女いちごう - 期待 (2017年4月29日 11時) (レス) id: 9a3b6eea55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リンネ | 作成日時:2017年2月3日 16時