今日、母親始めます【BL×オリジナル】 (ページ15)

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15部屋目ページ15

部屋につくと、そこは全く生活感がない場所だった。

「……ここ、部屋。第6医務室に近いからわかると思う。それから、荷物は全部寝室──えーと、そこのドアの向こうね。の方にまとめてあるから出す時は手伝う」

莉苑君はそう言うとあれがキッチン、キッチンの近くのドアが脱衣所の、と指を指して教えてくれた。

「それと、俺助産の勉強してるから多分部屋にあまりいないと思う。医務室に遊びに来ていいから」

「あ、うん。ありがとう……。莉苑君、何も言わないんだね」

「何が？もしかして、ここに来る前のこと引きずってる？」

「あ、いや、そういうんじゃないけど……。その、若いのに子供産むとか、そういうやつ……」

そう言うと彼は「ああ、なんだそんなこと」と言う。そんな事って、と言うと彼は俺の手を引いて、リビングのソファに座らせる。

「……ここの規則でね、16、7までに番を見つけなきゃいけないんだよ。それで、20から25までの間に子供をひとり生む。体質的に無理な人は例外だけど、みんな大体そう」

莉苑はそう言うとちょっと待っててと言って寝室に姿を消す。すぐに戻ってきたがその手には本が抱えられていた。

「これ、母体染色体保持者の事とか、施設のこととか書かれてる。この施設は元々綾木さんみたいに母体染色体保持者を保護するための施設だったんだけど、今は保護の他にも彼らの精神ケアや子育て支援も行う場所になってる」

その言葉に「養子とかそういう制度もあったよね？」と訊ねると彼はページを捲り「ああ、それはここ。ただ、里親制度もあるから、そこは混ぜない方がいい」と答えてくれた。

「里親……」

「……？なんか気になることでもあったのか？」

「あっ、ううん。気になるってわけじゃないけど……。俺、ここの生まれで用紙に出されたって聞いたから、生みの親はどんな気持ちで養子に出したんだろうなって思って」

あはは、と笑うと彼は「可愛い子供を手放すんだからつらかったんだと思う」と言って立ち上がった。

「そっか……、だといいな」