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12部屋目 ページ12

部屋に戻ると大翔が目をこすりながらキッチンに向かっているところだった。

「あ、おかえり。どこまで散歩してたの?」

そう問われ、公園に行っていたこと、そこで少し寝てきたことを伝える。大翔は「そっか」と言うとリビングで待つように言った。僕はそれに頷くと一度寝室に行き、読みかけにしていた本をとる。

「……そう言えば、保健の勉強で使った教科書が」

不意に保健の教科書(保健と言っても内容の大半は施設の事)が読みたくなり、本棚の前で指をさ迷わせる。

「……あれ、どこだ?」

しかし本が見つけられず、僕は諦めてリビングに行き、ソファに腰掛けて適当にページを開いた。

「……難しいな」

ミステリーやサスペンスものは、好きだ。事件の真相を暴くまでは出来ないが事件の犯人が誰かを推理するのが楽しいからだ。コイツだろ、と思っていた人間が実は味方だったという時や、行動がいちいち思わせぶりな人間が全く無関係だったりする時は何度か読み返してもう1度犯人は誰かと考えてしまう。
そのせいで読み終えるまで時間がかかるのだが、それもまた楽しいからいいやと思っている。

「……んー、江藤が犯人ぽそうだけど、こういう思わせぶりな人間に限って違うんだもんなぁ」

ブツブツいいながらページを捲っているとキッチンから出てきた大翔に「その小説に江藤なんていたっけ?」と聞かれた。

「いたよ。そんなに出てこないけど思わせぶりな行動ばっかりしてる」

「いたか?犯人が意外すぎて忘れたのかな?」

うーんと首をひねる大翔にきっとそうだよ、と言うと彼は「そうかな……、あ。ご飯できたから運ぶの手伝って」と言った。僕はそれに頷くと本を閉じてキッチンへと向かっていった。

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腐女いちごう - 期待 (2017年4月29日 11時) (レス) id: 9a3b6eea55 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リンネ | 作成日時:2017年2月3日 16時

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