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０６：ビニール傘 ページ6
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県立入試に受かったら、合格発表の報告に来るのは
ルールにはなってるけど
みんな大体、午前中に済ませるのに
なぜ今居るのか聞けば、午前中に報告に来て
お昼ご飯にファミレスに行って、それから家に帰ったけど
先生から渡された書類を教室に置いて来た事を
思い出して取りに帰ってきたとこらしい。
慎太郎「 帰んないの？ 」
「 うん、帰るよ 」
慎太郎「 でも座ってた 」
「 いや、雨降ってきちゃったなって 」
慎太郎「 親が迎えに来る感じ？ 」
「 うちは来ないよ。笑 」
って思わず鼻で笑って。
そしたら、持ってたビニール傘を開いて
私の隣に立って「 入る？ 」って。
途中まで同じルートだったけど、
森本くんは左に曲がって直ぐだけど
私は右に曲がって、それからまだまだ距離があって。
森本くんは家まで一緒に行こうって
言ってくれたけど、断って。
けど、少しだけお言葉に甘えて
別れ道の手前にあるコンビニまで
入れて貰うことにした。
せめてもで、そこで傘を買おうと思ったから。
一緒の傘に入って歩き出したのは良いけど
さっき下駄箱で話した距離感と
傘の中の距離感とは全く違って。
歩くたび少し触れる右肩。
気まずくて、
多分森本くんも同じだと思う。
さっきから静かだから。
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作者名：ゆの。
| 作成日時：2021年9月12日 1時
