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第17話 ページ32
「……いや、医者じゃない……、な？」
「…………お兄ちゃんだよ」
「………はぁ」
じぃ、とコチラを見ている中島を見つけてしまい、俺は肩を落として大きく溜息をつく。
バッチリと俺と目が合えば、ニンマリと笑みを浮かべて、扉が開かれた。
「A〜！よかった〜！」
バタバタとこちらまで駆け寄ってきた中島は、大きく腕を広げて俺とAを抱き締めた。
「お兄ちゃんっ……、苦し……」
「…………なんで邪魔しにきたんだよ」
「んー？なんの事ー？」
中島の耳元で問い掛ければ、ニコニコと笑顔の中島がしらばっくれている。
絶対これ確信犯だな。
応援するとか言ってたくせに。
やっぱり、お義兄ちゃん呼びが気に入らなかったのだろうか。
「お兄ちゃん、離して」
「悪い悪い」
あれこれ考えていれば、Aのちょっと怒ったような声色に、中島もパッと離れていく。
「で。…Aは全部……、菊池との事も、全部思い出したって事で良いんだよな」
「うん。…全部、思い出したよ。お兄ちゃんも、…なんか色々迷惑かけてごめんね」
「ん。よかった。これでやっと家にも帰れるな」
ポンポンとAの頭を撫でる中島に、Aは恥ずかしそうにして中島の手を掴む。
「もー、子供じゃないんだから……」
膨れっ面になるAと、嬉しそうにニコニコしている中島を見て、懐かしいななんて思いながら、俺の口角も自然と上がっていた。
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作者名：ルイ | 作成日時：2019年5月26日 20時
