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第6話 ページ11

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『……うん、そっか。…A、元気そうなら良かった』

「メンバーとの話も楽しそうに聞いてくれてたよ。…でもやっぱり、お前との関係の事だけは…」

『………ん。明日、俺も行ってみよーかな。彼氏じゃなくて、お兄ちゃんのお友達として、さ』

Aの見舞いを終えて、深夜。
菊池に電話をかけて少しだけ話せば、やはり彼の声色はいつもよりも切ないもので。
Aにメンバーとの仕事の話をした時、やはり俺以外のメンバーの事はキチンと覚えていた。
しかし、メンバーの1人が彼氏だとは覚えておらず、「カッコいいよね」なんて話で終わってしまった。

「少しずつさ。……少しずつ、思い出せるように、俺らで頑張ろう」

『あぁ。…Aに、無理させないように。ちょっとずつ……な』

「……うん。それじゃ、明日はよろしく。……無理だけは、すんなよ」

『わかってるよ。中島もな』

おやすみ、と互いに挨拶をして、通話終了のボタンを押すと、急にシン…と静かな部屋にいる現実に連れ戻される。

「無理すんなよ、って無理しちゃうのが俺ら。……なんだよなぁ」

菊池と、Aと、俺が映る写真を見て、自然と大きな溜め息が出てしまった。





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作者名:ルイ | 作成日時:2019年5月26日 20時

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