「気楽に生きろ」 ページ46
「おうみかい……
え、ヤ、ヤクザ?」
黄瀬は阿呆面でゆっくりと私の言葉を反芻すると、青褪めた顔で引き攣ったように言った。
「じゃないからめんどくせーんだよ」
「……?」
「そいつ自身はカタギでヤクザじゃない。
でもそいつの周りは真っ黒なわけ。祖父が会長なんだから」
私の言葉を聞いて黄瀬があー、と察したような声を出す。
「知り合えば葦ヶ谷を通じて裏社会とのパイプは出来るけど、直接繋がってる訳じゃないからこっち側のリスクは少ない。
金積んででもあいつの人脈が欲しいやつははくほどいるんだよ、それこそ芸能界とかでも。
だけど葦ヶ谷も簡単に利用させてくれるくらい馬鹿でもないから関わるとかなりめんどくさいことになる。
昔はバックにそういうのが付いてたらそりゃ楽にのし上がれたかもしれないけど、今、ってかこれからの時代は芸能界側に目向けるんじゃなくて消費者側に目を向けないと上に行けない。
SNSが流行りはじめて、芸能界の中での立ち位置を通してじゃなくて一人の人間としての自分を見られるようになってる」
「…………つまり?」
「うちらが葦ヶ谷と仲良くするメリットはあんま無いってこと。
周りで仲良くなりたがる人もいるだろうけど、気にせずファンだけ見てるべきってのが私の持論。
っつーか普通に物騒だから関わんねー方が良いでしょ」
そう言い切れば、黄瀬は少しの間の後、「やっぱAちゃんてスゴいんスね」と感心するように言った。
「オレちょっと感動しちゃった」
「お前の感動するポイントが全然わかんない」
訳が分からずそう言えば、なぜか嬉しそうな顔で「社長の言ってた事が身に染みてわかったっス!」と返される。
社長が黄瀬に何を言ったのかは知らないけど、自分の知らないところで勝手にハードルを上げられていたっぽいのは確かだ。
「オレ結構適当に生きてるからさぁ。周りに流されやすいっつーか……
だからそこまで色々考えてんの尊敬」
「いや私は変に俯瞰して見る癖があるってだけで別に色々考えてる訳じゃないし。
黄瀬は流されやすいって言うけど、周りの事よく見てるだけでしょ。適当に生きるなんて生きるの上手い奴にしか出来ねーじゃん。世渡り上手って事じゃね」
「……Aちゃん」
「何」
「オレちょっと泣きそう」
「ウケる。勝手に泣けば?」
「うわ冷た!寒暖差で風邪引くっスよ!」
「勝手に引けば?」
「エーン」
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水団子(プロフ) - 歌柚さん» 話の展開を褒めて頂き光栄です、、!!!拙い文に亀更新で申しわけありませんが、楽しんで頂けると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 光華さん» めちゃくちゃ嬉しいです、、恐ろしい程更新が遅いですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
歌柚 - コメント失礼します。ストーリや話の展開が面白くて楽しく見させてもらってます!ストーリ更新楽しみに待ってます!! (2021年7月13日 21時) (レス) id: f33fb75788 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 好きです!更新応援してます! (2021年5月16日 10時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - よもぎお餅さん» 黒子くんのお家に行こうと尾行したら見失った、というエピソードが好きでそこから色々と捏造を重ねたらこんな黒子くんが出来上がりました(^-^)主人公らしからぬミステリアスさが魅力だと思っています!コメントありがとうございました!! (2019年6月19日 20時) (レス) id: f26d4bb807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水団子 | 作成日時:2016年9月16日 0時