「蜂蜜糖度0%」 ページ36
「水瀬さんお疲れ」
「お疲れAちゃん。あ、こいつ新人」
そう言って隣の背の高い金髪を指差すから会釈しつつ顔を覗けば、そいつは目が合った途端顔を嫌悪感丸出しで歪めたままフリーズした。
あまりにも顔に出過ぎてて、これじゃ役者は無理だろと思うくらいだった。
初手でこんな嫌がられる事ある?ってなったけど、そいつの着てる制服で納得する。
自分の着てる制服はそのまま使ってんのシャツくらいでほぼ別物だし、そもそもほとんど学校行ってなくて男の方は見慣れてなかったから、すぐには気付かなかった。
帝光生ってことは多分私の噂を何個か耳にしているんだろう。
どんな噂が流れてんのかは知らないけど、普通に考えて良い噂じゃないことはわかってた。
「おい、先輩だぞ!挨拶しろ!!」
「……ども」
「あのなぁ涼太……
……生意気な奴で申し訳ない。黄瀬涼太って言うんだよ。モデルでやって行こうと思ってるから、仲良くしてやってくれ」
……あー、そういやなんか友愛が騒いでたやついたな、黄瀬って言う金髪のイケメンがいるって。
…………こんな顔だったっけ……
「……仲良くなんて絶対しねぇ」
「おい!!」
「いーよ別に。ってか社長んとこ行くんじゃないの?」
そう言えば、水瀬さんは私にもう一度頭を下げて、黄瀬を小突いてから歩き出した。
黄瀬も私を一睨みしてその後に続く。
間違いなく過去一態度のデカい新人だった。
あるよな、あーいう「自分最強」って時期。
自分の黒歴史を思い出しそうになってため息を吐く。
普通にムカついたしウザかったけど、ああいうタイプは絡めば絡むほどダルいので流すことにした。
出来るだけ撮影や事務所来る日が被らないことを信じてもいない神に祈りつつ、テーブルの上のインスタントコーヒーを啜った。
その後遅れてやってきた夏音さんから黄瀬との撮影スケジュールについて聞かされ、神様ってやっぱいねーんだな、とくだらないことを考えたのを覚えている。
数週間後の撮影日。
憂鬱な気分でスタジオに入れば、私よりも先に着いていたらしいあの蜂蜜色の髪が目に入る。
アレと一日一緒なの嫌すぎるなと思いつつ「おはようございます」と頭を下げれば、スタッフの声に混じって気色悪いくらいの元気な挨拶が帰ってくる。
顔を上げれば、嫌でもその声の主が黄瀬だと言う事が分かった。
目が合ってとびきり人懐っこい笑顔を向けてくる黄瀬に、「え何?キモ……」と心の声が漏れた。
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水団子(プロフ) - 歌柚さん» 話の展開を褒めて頂き光栄です、、!!!拙い文に亀更新で申しわけありませんが、楽しんで頂けると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 光華さん» めちゃくちゃ嬉しいです、、恐ろしい程更新が遅いですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
歌柚 - コメント失礼します。ストーリや話の展開が面白くて楽しく見させてもらってます!ストーリ更新楽しみに待ってます!! (2021年7月13日 21時) (レス) id: f33fb75788 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 好きです!更新応援してます! (2021年5月16日 10時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - よもぎお餅さん» 黒子くんのお家に行こうと尾行したら見失った、というエピソードが好きでそこから色々と捏造を重ねたらこんな黒子くんが出来上がりました(^-^)主人公らしからぬミステリアスさが魅力だと思っています!コメントありがとうございました!! (2019年6月19日 20時) (レス) id: f26d4bb807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水団子 | 作成日時:2016年9月16日 0時