「傀儡」 ページ31
「……まあ、家業のせいですかね。
なかなか変わってるので」
「それも気になってた。
こんな家に住んでんのに、黒子なんて苗字全く聞いた事ないし。
……それもその血筋のせいなわけ?」
まさか忍者の末裔とか言い出すんじゃないだろうな、と少し身構える。
あってもおかしくないから笑えない。
黒子の淡々とした口調から語られる言葉は、何となく真実味を帯びていて、こいつの冗談は分かりずらいだろうなと思ってたら、少しの間の後黒子が口を開く。
「……人間の本質は欲です。
欲は争いを生みますが、向く方向さえ間違えなければ社会を発展させるエネルギーになります。
その軌道を正しい方向へ修正するのが黒子の役目です。
それがどんな手段であれ、ボク達は表には出ず、裏方に徹します。
誰にも気付かれないよう、慎重に糸を手繰り寄せて、社会を上手く操るんです。
ボク達の動向や存在が外部に漏れれば、バランスが崩れてしまうので。
その為の訓練というか……そういう教育は受けてきてるので、そのせいですかね」
「……はぁ?」
まず急に哲学的な話しだしてビビったし、家業についてもフワッとした説明で何一つ理解出来ないし、変に回りくどい言い回しが気になったし。
途中何度もツッコミたくなったのを、とりあえず一旦話を聞こうと我慢してたけど、それでもやっぱり全く意味がわからなくて、苛立ちの篭った声を返す。
それに黒子は何故か嬉しそうにふ、と口元を綻ばせた。
……こいつの喜びポイント、よくわかんねぇな。
「すみません、分かりずらいですよね。
一言で言えば何でも屋です。
日常が回るために、裏で何やかんや頑張ってるのかボク達です」
「いや急にそんなアッサリとした感じに言われても……」
さっきまであんな大層な感じで言ってたのに、と内心気が抜ける。
「ってかそれが本当なら私なんかに簡単に言って良いの?」
「誰にも気付かれないように」というさっきの黒子の言葉を思い出して聞いてみる。
「ああ、勿論駄目ですよ。黒子家以外の人間には」
「駄目じゃん」
「大丈夫ですよ、Aさんがボクと結婚してくれれば」
「は?」
あまりにもサラッと言うから聞き逃してしまいそうだったけど、こいつサイコパスなの?
「えお前もしかしてわりと頭ヤバめ?」
「あはは、そうかもしれないですね」
「いやなんで笑ってんの怖い……」
125人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「黒子のバスケ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水団子(プロフ) - 歌柚さん» 話の展開を褒めて頂き光栄です、、!!!拙い文に亀更新で申しわけありませんが、楽しんで頂けると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 光華さん» めちゃくちゃ嬉しいです、、恐ろしい程更新が遅いですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
歌柚 - コメント失礼します。ストーリや話の展開が面白くて楽しく見させてもらってます!ストーリ更新楽しみに待ってます!! (2021年7月13日 21時) (レス) id: f33fb75788 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 好きです!更新応援してます! (2021年5月16日 10時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - よもぎお餅さん» 黒子くんのお家に行こうと尾行したら見失った、というエピソードが好きでそこから色々と捏造を重ねたらこんな黒子くんが出来上がりました(^-^)主人公らしからぬミステリアスさが魅力だと思っています!コメントありがとうございました!! (2019年6月19日 20時) (レス) id: f26d4bb807 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:水団子 | 作成日時:2016年9月16日 0時