「無色透明」 ページ30
「なんで、と言われましても……」
困ったような声色を出しているけど、黒子の顔は無表情だった。
困惑してるのはどう考えてもこっちだし、と不満も込て眉間に皺を思いっ切り寄せてみても、やっぱり変わらず無表情だった。
遣る瀬無さにため息をつく。
「だってうちら知り合ったのついこないだじゃん。何?一目惚れとか?意外と面食い?」
「自分でそういうこと言っちゃいますか」
「だって私顔くらいしか取り柄無いし」
そう言い切れば、少しだけ黒子の口角が動いた。
……何それ、どういう感情?
「……去年、よく、図書室に来ていたじゃないですか」
「……え」
ふと1年の頃の自分が頭に過ぎる。
何となく1人になりたいとき、私が決まって足を運んだのが図書室だった。
花音達も含め、帝光生は私がほとんど学校行ってないと思ってるだろうけど、授業は出ずに図書室でひたすら本を読む日も結構あった。
「……なんで知ってんの?」
「図書委員ですから」
「いや私が図書室いたの授業中だし。黒子サボるなんて柄じゃないじゃん、知らんけど」
周り誰もいなかったし、と続けようとしてやめた。
……だって。
初めて喋った日も、ずっと目の前歩いてたはずなのに、黒子がおっさんに絡まれるまで存在に気づかなかったり、とか。
ついさっきまで一緒にいたはずなのに、一瞬で見失ったり、とか。
___居たとしてもおかしくねぇな、こいつなら。
黒子な異常な程の影の薄さ。
考えれば考えるほどあまりに非現実的すぎて、変な汗が出てくる。
気付いたら、「僕もサボりたい時くらいありますよ、先生にもあまりバレませんし」と淡々と答えた黒子に、反射的に「お前結局何なの」って馬鹿みたいな質問をしてた。
黒子は特に驚いた様子も無く、少しの間の後口を開く。
「何なの、とは……どういう意味ですか?」
「いやそういうのいいから。
体質とか言ってたけど。
1年のときお前も図書室に居たのかもしんないけど、私全然気づかなかったし、初めて喋った日も、影薄すぎて髪水色だとか、帝光の制服着てることに全然目引かれなかった。
なのに、私、今別に黒子のこと影薄いとか思わない。
なんか、コントロールしてるみたいなんだけど、その影の薄さ」
そう言えば、夏音さん達が黒子の話題だけを綺麗に忘れてた、なんてこともあった。
……もしかしたら、花音たちの記憶からも抜け落ちてんのかもしれない。
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水団子(プロフ) - 歌柚さん» 話の展開を褒めて頂き光栄です、、!!!拙い文に亀更新で申しわけありませんが、楽しんで頂けると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 光華さん» めちゃくちゃ嬉しいです、、恐ろしい程更新が遅いですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
歌柚 - コメント失礼します。ストーリや話の展開が面白くて楽しく見させてもらってます!ストーリ更新楽しみに待ってます!! (2021年7月13日 21時) (レス) id: f33fb75788 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 好きです!更新応援してます! (2021年5月16日 10時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - よもぎお餅さん» 黒子くんのお家に行こうと尾行したら見失った、というエピソードが好きでそこから色々と捏造を重ねたらこんな黒子くんが出来上がりました(^-^)主人公らしからぬミステリアスさが魅力だと思っています!コメントありがとうございました!! (2019年6月19日 20時) (レス) id: f26d4bb807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水団子 | 作成日時:2016年9月16日 0時