「深淵」 ページ29
「すみません、順を追って説明します」
黒子はまた軽く頭を下げる。
……ただ、声が透き通りすぎててあんまり謝罪されてる感じがしない。
なーんか、全部、上から物言われてる気がする。
まぁ、私が卑屈になってるだけなんだろうけど。
そんないつも通りの自己嫌悪かましてたけど、黒子の言葉でその思考は断ち切られた。
「先程の二人は、僕の両親です」
「……は!?マジで!?」
さっき見た、長いまつげに縁取られた目力の強い茶色っぽい目を思い浮かべる。
あの超絶美人が黒子の母親?
いや似てなくね?
ってか待って、母親?
全世界の母親像とかけ離れてんだろ若すぎじゃん?
「そんなに驚きますか?
同級生の実家で大人の男女二人に会ったら、普通両親だと思いません?」
「いやこんな家住んどいて“普通”とか言われても……」
……あーでも父親の方は確かに似てたかもだわ、あんま覚えてないけど。
母親の方も、黒子は派手ではないけどわりと整った顔してるし、言われてみれば面影はある。
「……ここの家って、15までに婚約者を決められるんですけど」
流石に「うぇぇ」って変な声出た。
「まじでそんな家あんだ……」
こんなデカい家に住んでる時点でわりとファンタジーだもんな。
そういやここの家何やってるとこなんだろ、別にどうでもいいけど。
黒子は少し目を伏せて頷く。
「はい、残念ながら。……それで、ボクも何人か紹介されそうになりまして」
こっから先だった、例の爆弾発言は。
あいつはあの、熱っぽさを孕んだ澄んだ瞳で笑ったから、私はゾクリと身震いしたのを覚えてる。
「お慕いしている方がいます、と言ったら、連れて来いと言われたので。
なかなか学校も来ないですし、時間も合わないし、会ってもらうのはもう少し先になるかなと思ってたんですけど。
良かったです、Aさんが今日、あそこにいてくれて」
「……は??」
「何か?」
いやいや、「何か?」じゃねぇよ私の情報処理能力にも限界があるわ。
こいつの言ってることをまとめると。
こいつには好きな人がいて。
それを伝えたら、家に連れて来いと言われて。
そんで今日、この家に連れて来られたのは、他でもない、私。
「……あー、まだ頭追いついてないっぽいから違ったら別に良いんだけど。
…お前、私のこと好きなの?」
「はい、一年前から」
「は!?なんで!?」
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水団子(プロフ) - 歌柚さん» 話の展開を褒めて頂き光栄です、、!!!拙い文に亀更新で申しわけありませんが、楽しんで頂けると嬉しいです!コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 光華さん» めちゃくちゃ嬉しいです、、恐ろしい程更新が遅いですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。コメントありがとうございました! (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
歌柚 - コメント失礼します。ストーリや話の展開が面白くて楽しく見させてもらってます!ストーリ更新楽しみに待ってます!! (2021年7月13日 21時) (レス) id: f33fb75788 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 好きです!更新応援してます! (2021年5月16日 10時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - よもぎお餅さん» 黒子くんのお家に行こうと尾行したら見失った、というエピソードが好きでそこから色々と捏造を重ねたらこんな黒子くんが出来上がりました(^-^)主人公らしからぬミステリアスさが魅力だと思っています!コメントありがとうございました!! (2019年6月19日 20時) (レス) id: f26d4bb807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水団子 | 作成日時:2016年9月16日 0時