「埋まる」 ページ17
みんなと別れて、そのまま家に帰らずに、新宿でブラブラしてて、気づいたら11時半を過ぎていた。
足取り重く、ベンチに座る。
目の前を通り過ぎんのは、飲み会を終えたらしい若い人の集団と、家庭を持ってるのか、持ってないのかわかんないけど、とにかく家に帰ろうと急ぐサラリーマンだけ。
ときどき、そのサラリーマンの中には、ちらちらと私を見やってくるオッサンもいた。
こんなとこに、こんな時間にいたら、何て声かけられるかわかってる。
だからこそ、ここにいた。
人肌が恋しい、なんて思ってはいないけど。
埋まらねぇかな、とは思ってる。
心とかじゃなくて。
私の存在全部。
夜空を見上げても、ビルの明かりのせいで、星が全く見えない。
人は死んでも星にはならない。
地球に、埋まるだけ。
座ったベンチの後ろに、人が立ったのがわかった。
マスクしとけば良かった、と今更だけど思った。
私はテレビにはあんま出てないし、オッサンにはあんまり知られてないとは思うけど、このことが広まったらさすがにヤバい。
ヤバい、けど。
そうなったらどうなるんだろ、とちょっと気になってる自分もいる。
とことんクズだ。
顔は、隠さない。
そんな結論に達したときに、ようやく、その人がオッサンじゃないことに気づく。
「また、会いましたね」
透き通った声に、体が固まった。
振り返ったときに見えた水色が眩しくて、目を細める。
うわ。
会いたかったけど、会いたくなかった。
嬉しさとも気まずさとも言えない、変な感情が心ん中で回ってた。
「黒子、テツヤだ」
「桃井さんから聞きましたか。
……何してるんですか？」
そう、澄んだ瞳で聞かれたときに。
この、綺麗な人間に、汚いことを言ったらどうなるのかと、少し好奇心が昂った。
汚してやりたい、どうせならって思った。
だから、本当のことを言った。
「小遣い稼ぎ」
スカートのすそを持ち上げて黒子を見るけど、全くもってあいつの表情は変わんなかった。
「ずっとそんなことやってるんですか」
「中１のときぶり」
今度は黙ってしまった。
……なんだ、つまんな。
踵を返してそこから離れようとすると、ぐん、と後ろに引っ張られる。
「え、何……」
「10万でどうですか？」
「……っは？」
「今夜はボクが藍里さんを買います」
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水団子(プロフ) - 歌柚さん» 話の展開を褒めて頂き光栄です、、！！！拙い文に亀更新で申しわけありませんが、楽しんで頂けると嬉しいです！コメントありがとうございました！ (2021年8月31日 3時) (
レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - 光華さん» めちゃくちゃ嬉しいです、、恐ろしい程更新が遅いですが、最後までお付き合い頂ければ幸いです。コメントありがとうございました！ (2021年8月31日 3時) (レス) id: 4f5e2162c5 (このIDを非表示/違反報告)
歌柚 - コメント失礼します。ストーリや話の展開が面白くて楽しく見させてもらってます！ストーリ更新楽しみに待ってます！！ (2021年7月13日 21時) (レス) id: f33fb75788 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 好きです！更新応援してます！ (2021年5月16日 10時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
水団子(プロフ) - よもぎお餅さん» 黒子くんのお家に行こうと尾行したら見失った、というエピソードが好きでそこから色々と捏造を重ねたらこんな黒子くんが出来上がりました(^-^)主人公らしからぬミステリアスさが魅力だと思っています！コメントありがとうございました！！ (2019年6月19日 20時) (レス) id: f26d4bb807 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水団子 | 作成日時：2016年9月16日 0時
