１０．奥に自動販売機がある ページ10
手帳にはさんだら絶対無くすことないやラッキー！ と思った過去の自分を殴りたくなった。リエは外国人さながらの反応をした。
どうして社長なのに抜けてるかなぁ、と呆れたゼンは米神を掻きながら深い溜息をつく。諦念が滲んだ溜息であった。
「で、他に上着のあてはあんのかよ」
「他の女子社員のを勝手に使わせてもらうとも考えたが、ロッカー鍵してあるし」
「そもそも勝手に使う発想からやめろ。他には？」
「……ないです」
またゼンに溜息をつかれる。リエは社長という身分で、ゼンよりも堂々として上の立場にいなければならないのだが、今は虎に食われる仔猫のようだ。身体が縮こまり、おどおどしてしまう。
リエは申し訳ない気持ちに一杯になりながら、ゼンが脱いだツナギの上着を拝借した。リエの想像よりもずっと機械の潤滑油の臭いがしていたが、自分の体温よりも大分暖かい。冷たくなっていた指先に熱を感じた。
いつだったか忘れたが、リエにもボーイフレンドがいた時期があった。半年しか続かなかったが、リエの頭にその時の記憶が思い出されていた。上着を貸してくれたことはなかったが。今も関係が続いていれば、きっとこういうこともあったのではないか……ということだ。
「早く着ろよ。戻るぞ」
「りょ」
そういうとゼンは何事もなかったように歩き出した。
リエは脱げたスリッパを見つけて履き直す。
「待て、ゼン！ 早いぞ」
「お前が遅い」
女子更衣室を出るとはじめに見えるのは真っ白な壁だが、右を向くとふたつのベンチが用意された小さなスペースと、奥に自動販売機がある。左には無事故達成！ と書かれたポスターが数枚貼ってあるだけだが。
空中に伸びる階段を上っていくゼンを追いかける。リエは自分よりも一回りか二回りも大きい上着に袖を通し、長い髪の毛を外へ出した。さっきまでフィッシュボーンという髪型にしていたため、ほどいたら変な癖がついた髪型になっていた。
それから前髪をポンパドールのように上げたのだが、リエは過去にこの髪型をして気がキツそうに見えると言われたので、気の許せる人間の前ではないとこんな髪型はしない。
ゼンはおっさんだから別だが。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
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しまくろしるる(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» はい、のんびり応援します！レイチェルさんも自分のペースで書いていってくださいねー (2016年11月27日 0時) (
レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - しまくろしるるさん» うぎゃー！ しまくろしるるさん、御無沙汰しております。読んでくださり、ありがとうございます。頑張って書いていくので、楽しんで読んでもらえると嬉しいです。 (2016年11月25日 21時) (レス) id: f158aaa837 (このIDを非表示/違反報告)
しまくろしるる(プロフ) - 新作おめでとうございます!!すごく面白そうなので楽しみにしてます!! (2016年11月25日 20時) (レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル・ハジェンズ | 作成日時：2016年11月24日 22時
