３５．君のために ページ35
「ひとつ、どんな困難があろうともそれを乗り越えていく力を身に着けること。
ひとつ、すぐ先の未来で自分の個性と才能が開花し、切磋琢磨し競い合うこと。
ひとつ、そこに苦労と楽しさが入り混じった時に初めて仕事をしたと言える。
それは思い出となり、かけがえのない財産となることを約束する。
それは消えることもなく、心に永遠に残り続ける。
私からは以上よ。朝礼は終わり。各自、仕事場所へ戻って精進すること」
まだ髪の毛を乱雑にたばね、少し薄汚くなった白衣を身に纏ったリエの朝の発言は、千を超える社員の動揺に尾を引かせた。
おそらく、今日いっぱい、いや、今週いっぱいはこの話題で持ち切りだろう。
ファーフ・オークションの重鎮を誰ひとりとして召集せず、なんの脈絡もなかったいきなりの発表。
新入社員を優遇し、もうすぐ引退するであろう社員たちは新入社員の技術向上に尽力してほしい。
今の体勢を変えるのは多少の時間を要するだろうが、私は急にとはいはない。
今制作している作品もあるだろうから、それを片付けてもらったあとや、同時並行で頼むと。
リエが去っていったあと、ツナギに煙草のやにと錆びた油の匂いをしみこませたゼンが少し不服そうな目をした。
先ほどから左手をツナギのポケットに入れ、手を出そうとしない。
〇
リエからゼンの面倒を見ろと言付かっていたアンドロイド、クニはその朝礼の内容を軽く聞いただけで、詳しいことは聞かされていない。
ゼンは朝礼が終わるとすぐさま自分の作業スペースにいき、どすんと丸椅子に腰かけた。
ゼンの唇はへの字に曲がり、それをセンサーで気づいたクニは湯飲みをテーブルの上に置いて話しかけた。
「ゼンさま、いかようで？」
「ったく、朝から嫌なことが起こったぜ」
ゼンはファーフ・オークションの制作タワーでは看板を背負うほどの大物であり、経営ポリシーや財政の会議に多少の口出しをすることはできる。
多少嫌な顔をされる、というデメリットも勿論あるが。
「リエ様のことでございますか？」
「ケッ。知るかよ」
今のゼンにとって、リエという名前は聞きたくないものだった。
いきなりの決定と、自分の築き上げてきた地位が崩れることに怒っているのだ。
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革ベルト
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しまくろしるる(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» はい、のんびり応援します！レイチェルさんも自分のペースで書いていってくださいねー (2016年11月27日 0時) (
レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - しまくろしるるさん» うぎゃー！ しまくろしるるさん、御無沙汰しております。読んでくださり、ありがとうございます。頑張って書いていくので、楽しんで読んでもらえると嬉しいです。 (2016年11月25日 21時) (レス) id: f158aaa837 (このIDを非表示/違反報告)
しまくろしるる(プロフ) - 新作おめでとうございます!!すごく面白そうなので楽しみにしてます!! (2016年11月25日 20時) (レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル・ハジェンズ | 作成日時：2016年11月24日 22時
