17.一言を書く ページ17
「社長、珈琲お淹れしました」
「そこにおいて。ありがとう」
翌朝、午前九時。
社長室には窓硝子越しに実にホワイト〜な目映い明かりが入ってくる。
十畳ほどの広さの社長室にあるのは真っ赤な絨毯と、アンティークのデスク。デスクにはデジタル時計がひとつ置かれており、さっきからチカチカと秒針を刻んでいる。
プレゼンテーションアプリをパソコンで開いたのは良いものの、「パンツマン」というタイトルを打ち込んだまま進まない。
見出しから一向に進まない。かれこれ二十分はこの状態で悩んでいる。
ボールペンを耳にはさんだり、マッチ棒を睫毛の上にのせてみたり――ペン回しやマッチ棒回しも勿論やった――したが、遊んだまま一向に進まない。
今日はゼンがいない。
今日からウチの会社にエースがいない。
それは社長であるリエにとってどれだけプレッシャーがかかることだろう。今まで副社長のように扱ってきた男が一人いないのだ、リエにとってはどう行動すれば良いものか悩んでしまう。
今日は急用以外の仕事は信頼の置ける部下に回してある。いつもこの時間帯は書類のチェックや、認め印を押しているが、今日は全て“一身上の都合により”キャンセルさせてもらった。
だって今日は私一人しかいないから。
ボールペンの先で空中に、「自信がない」という一言を書く。一人で会社を回していけるのか、リエには自信がないようだった。
……こんなことしてても、「あー! もう、進まねーんだよ!」 虚しい気持ちと、焦燥感が混ざり合ってストレスになる。ゼンがいなかったらどうすれば良いかわからん。
そもそもパンツマンの売り方って昨日と打ち合わせ通りで良いのか? あん?
ボールペンをダーツの針にみたてて、壁にカツンッとあてる。
「今日中に提出しなきゃならないってのに……」
プレゼンの提出は今日の夜九時まで。
オークションの開催日は毎月十九日。前日の十八日にはプレゼン班に提出しなければいけない。ではないと商品を作れなかったということになり、売り出せないことになっている。
どうすっかなー、と頭を抱えていた時にキイという音がした。
社長室のドアが開いて、先程コーヒーを届けに来てくれた女性が顔を出す。
「社長、お客様が。制作場の503号室でお呼びです」
「はあ? 制作場ですって?」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
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しまくろしるる(プロフ) - レイチェル・ハジェンズさん» はい、のんびり応援します!レイチェルさんも自分のペースで書いていってくださいねー (2016年11月27日 0時) (レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - しまくろしるるさん» うぎゃー! しまくろしるるさん、御無沙汰しております。読んでくださり、ありがとうございます。頑張って書いていくので、楽しんで読んでもらえると嬉しいです。 (2016年11月25日 21時) (レス) id: f158aaa837 (このIDを非表示/違反報告)
しまくろしるる(プロフ) - 新作おめでとうございます!!すごく面白そうなので楽しみにしてます!! (2016年11月25日 20時) (レス) id: 5ed7260065 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作成日時:2016年11月24日 22時