キャンディー・ボーイ【ONEPIECE】 (ページ7)

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愛囁 07 ページ7

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私のサニー号での役割は専ら戦闘だ。

これでも、"億"という懸賞金がつく程度には名を挙げてきた。それもこれも、これまでの忌々しい過去があったお陰であるのだが。

「...クソ」

麦わらのルフィのクルーとしては恥ずかしながら、そこまで強くもない敵に傷を負わされてしまった。
これからあのドンキホーテ・ドフラミンゴとの戦闘になるというのに、買い出し目的で寄った近くの島で他の海賊たちと乱闘になって負ったものだ。

脇腹をナイフで刺されたらしく、着ていた黒地のシャツが血液でじっとりと重くなってくる。

どうにか船まで戻らなければ...と足を動かすが、足元がいちいちフラつく。

「不甲斐ねェ...」

ボタボタと血を垂らしながら歩けば、流石に平和そうな街中。血だらけのおれを見ては皆が悲鳴を上げて避けていく。

その奥に、一人目立つ金髪頭を見つけて足の力がふと抜ける。

...よりによって、なんでお前がここにいるんだよ。

「...Aちゃん！？どうした！！誰にやられた！？」

「さ....わぐな、敵は倒した...」

「騒ぐなって...無理だろ！！こんなに血が出てんだぞ！！急いでサニー号に運ぶから、それまで堪えてくれよ！！」

サンジの切羽詰まった顔、初めて見るな。女相手に...こんなに普通に喋れるんだ、コイツ。

それどころじゃない筈なのに、新たに見えたサンジの色んな所に目がいって。それを他の女たちが知らないんだと思うとおれは少し誇らしくなった。

世の中の女たちに向けない顔を、言葉を自分に向けてくれている。

女扱いして欲しくないと言って突き放したけど、ローと話をしてみて改めて思う。
サンジに女扱いされるのが嫌だったんじゃない。

恥ずかしかったんだ。そんな扱いを、生まれて一度もされたことなくて。
でも、お世辞なんかじゃなくて本当のことを真剣に言うように自分の魅力を伝えてくるお前と顔を合わせるのが。

でもその事実に気付いた今、やるべきことは分かった。おれはサンジに抱き上げられながら自分とは違った意外と逞しい胸板に触れる。

出血は多いし目もチカチカするのに、気分だけはいつもより落ち着いていた。

「A、堪えろよ＿＿＿！！」

どうか、自分が決めたことを実行するまでは。自分を中途半端な女で男な存在でいさせてくれよ、サンジ。