愛囁 05 ページ5
*
Aちゃんに嫌われたかもしれない。
そう言って半泣きの状態でサンジくんが私たちの元へやって来た。大方いつもの通りAを褒めてキレられたのかな、と思いつつ彼の話を聞く。
「やっぱり、Aちゃんは心が男だから...おれのこういう行動も嫌なのかと思っちまって」
「それを改めてハッキリ言われてショック受けてるってわけね」
「恥ずかしながら...おれもどうしたら良いか分かんなくてよ」
いつもなら女の子に目がなくて、息を吸うように口説き文句を言ってるサンジくんが...まさか、一人の女の子相手にこんなになるなんて。
驚きと同時にちょっと微笑ましくもある。
本気でAのことが好きなのが誰から見ても分かるくらいだから
でも、サンジくんの報われない想いにこっちも悲しくなるのは許してほしい
「おれァ、Aちゃんに女の子として接した方がいいのか...それとも男として接した方がいいのか」
「それは...やっぱり男なんじゃない？Aは心は男だって言ってるんだし、やっぱり女扱いされると戸惑っちゃうんじゃ...」
私はそうは言ってみるけれど、ホントはどうしたらいいかなんて分かんない
Aが本当に心の底から男になりたがってるのかも...サンジくんのことをどう思ってるのかも。
でも、私がいつも見る限りではあの子はサンジくんのことを本気で疎ましく思ってるわけじゃないと思うのよね。
前にサンジくんに褒められたとき、耳が赤くなってたの...見たし。
「ロビンはどう思う？Aのこと...結構一緒にいること多いじゃない」
「そうね」
ロビンは何か考えがあるような顔をしてサンジくんを見る。
Aはよくロビンといるし、もしかしたら本音なんかをポロリと溢してるんじゃないかと思ってたけど
「彼女の本当の気持ちは知ってるけれど...私からそれを言うのは違うと思うの」
「えぇ！？」
「そ、それはどういう...！？」
ロビンはふふふ、と笑ってただねと付け加える。サンジくんはロビンのその言葉を真剣に受け止めて、ありがとうと礼を言うとすぐに部屋から出ていった。
サンジくんがいなくなった部屋でロビンはまた面白そうに笑う。
「ロビーン、知ってるなら私にも教えてよ」
「ふふふ、ごめんなさい。彼女との秘密なの。」
いつか分かるときが来るわ、と言われてちょっと不満だけどその気持ちを飲み込む
まだ女の子として接して良いんだと知ったサンジくんが、一体どうやってAを落とすのか...
これからの楽しみがまたひとつ増えたわ
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作者名：RIOT(別垢にいみ)
| 作成日時：2019年12月9日 0時
