キャンディー・ボーイ【ONEPIECE】 (ページ2)

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愛囁 02 ページ2

*

今日も甲板に優しく吹く潮風が心地好い。

ふわり、と香ってくる爽やかな磯の香りに髪が撫でられるように揺れる。その時、視界の先にサラサラと揺れる金髪が見えてそれに目が奪われた。

女みたいに綺麗な髪の毛。

自分と同じくらいの長さのサンジの髪は質の良い金髪で遠目から見てもキチンと手入れがされてるんだろうな、と分かる。

その時ふと振り返ったサンジと目があって、しまった＿＿と思った。瞬間、奴は目をハートにするとおれの元へと飛んでくる。

ずっと自分は男だと言っているのに
なんでおれに構ってくるんだ...コイツ

「Aちゃん、君の髪はとても綺麗だね」

それを皮切りにクッサくて甘ったるい台詞が次々に飛んでくる。ナミやロビンに言えばいいものを...なんで男のおれに言うんだよ。

ずっと不思議に思っていた疑問をぶつけようとした。けれど、おれの魅力を語るサンジはいつかのオールブルーの話をしているときの顔と似ていて。

それを邪魔するなんて、おれには出来っこなかった。

＿＿＿＿っていやいや、止めりゃいいだろ。語ってんのはオールブルーじゃなくておれの魅力だぞ...！

おれは途端に恥ずかしくなって、まだ悠々と自分のことを語っているサンジの顔を横目で覗く。きょとんとした彼にゆっくりと手を伸ばした。

掌にサラリ、と心地好い髪が乗る

「サンジの方が綺麗だよ」

「え？」

「髪の毛、何か手入れとかしてるだろ？」

自分とは違って、女も嫉妬するような緩やかな金髪のサンジ。自分は褒められるような人間ではないけれど、サンジは違う。

こんな中途半端な女男のおれではなく、彼にはその美しい髪を武器にもっと素敵な女を口説いて欲しい。

こんなの...これ以上、自分が中途半端になりたくないただの言い訳なのだけれど

「ありがとう...でも、おれはAちゃんのこの髪が好きなんだ。
太陽にキラキラ反射して、まるで宝石みたいで」

へへ、といつもの余裕なんて見せないサンジの照れ笑いに聞いてるこっちも恥ずかしくなる。

おれは男、おれは男...そう言い聞かせてただの口説き文句を頭から飛ばそうとした。

宝石とか...綺麗とか...恥ずかしいことばっかり言いやがって

うるせぇよ、とムキになって可愛くない返事と共に彼に背を向ける。

真っ赤になった耳が上手く隠せただろうかとちょっぴり不安になった。