某事務員の私生活、実はだらしないらしい。【アイナナ】 (ページ4)

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3.最悪ページ4

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「……最悪。ほんっとに最悪」

ブツブツ呟きながら早足で歩く彼──楠木Aは腰痛に耐えながらも少し大きめなカバンを肩に掛け小鳥遊事務所と言われる場所へ足を運んでいた。

お世辞にも大きいとは言えない事務所のチャイムを鳴らせば1度バタバタと音を立てつつも鮮やかな赤髪を揺らしながらこの事務所のアイドルである七瀬陸が出た。が、Re:vale以外のアイドルに疎いAはそんなことなど知る由もなかった。

「……！えっと、万理さんから聞いてます！中へどうぞ！」

一方陸は驚いていた。“身長が小さい男の人が届け物に来る”と万理に言われていただけで写真を見せてもらった訳でも無い陸は間違えたらどうしよう等と多少の不安を感じていたもののドアを開けてみれば小柄でかわいらしい顔つき、肩よりも少し長い真っ黒な髪は綺麗に揃えられていて……それは女性を思わせるものがあった。

「ありがとうございます」

にこり、と外向きの笑顔で礼を述べれば言われるままに事務所へと足を踏み入れた。
万理はここ数年ずっと小鳥遊事務所に務めているがAがここに来るのは初めてな為多少キョロキョロしてしまっても仕方ないだろう。

「万理さ……あれ？」

広間らしきその場所に着けば先程までいたはずの万理がいなくなっていた。
首を傾げる陸にAはどうかしたのかと訪ねようと前を覗いてみればそこにいた人物に思わず無表情になってしまった。

「……なんっで千がいるんだよ！」

「やぁ、久しぶりだね。昨日はモモが世話になったみたいで」

やるせない表情でビシッと指をさすAとは裏腹に愉快そうに笑いながら返事をする千。
その場にいた大和やら壮五やらはAに興味津々なのか千にお知り合いですか？なんて聞いている。

Aが本当にめんどくせぇな、なんて密かに考えてしまうのにそう時間は掛からなかった。

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