検索窓
今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:111,617 hit

#48 N ページ48

.






いつかは、って、勝手にそう描いてた。





「部長って本当優しいですよねえ…
なんで彼女つくらないんですか?モテるのに」

「ご想像にお任せしますよ」

「ええ、なんですかそれー」





相談があるから、なんて言われて来た居酒屋。

相談という相談もなく、一時間が過ぎた頃。
名前で呼んでほしいというお願いに呆れていた。


そんな、一時間が過ぎたとき。


彼女の言葉に思い浮かぶのは、たった一人。

黒瀬しか、いなかった。





「…私じゃ、だめですか?」

「部長は、…部長の好きな人は。
黒瀬ちゃんじゃないと、どうしてもだめなんですか」





泣きそうな顔。
この顔に弱いことを、知られているんだろうか。



いつか、振り向いてくれるんじゃないかって。

付き合って、結婚して、家庭に入ってもらって。


そんな馬鹿馬鹿しい未来予想図を描かせてしまうから恋は怖いものだ。





「…どうでしょうね」





いつの間にか好きになってた。


仕事熱心で、自分の綺麗さに気づかないほど鈍感で。
クールかと思えば女の子らしいところもあって。


誰にでも平等な優しさと、はにかんだ笑顔に。

いつの間にか、恋に落ちていた。





「もうお開きにしましょうか。
タクシー呼びましょ?酔いすぎですよ」

「…ずるい」

「っ、」





至近距離で見つめられても、肩に手をおかれても。



酔いすぎですって。

その一言で笑って終わらせてしまう自分は、最低?





「……そうですね、ちょっと飲みすぎました」





彼女の悲しそうな顔を見ても、頭に浮かぶのは、黒瀬ただ一人だけ。



″重岡さんのこと、好きかもしれない″


よくある話なのか。

自分の知り合いを好きだと言った彼女はもうきっと、その知り合いに振り向くことなんてない。





「………はあ、」





タクシーを見送って車へ戻る。


柄にもなく、泣きそうになった。

#49→←#47



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (106 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
362人がお気に入り
設定タグ:ジャニーズWEST , 重岡大毅 , 中間淳太   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:凜憧 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年5月9日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。