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『いただきます』
「ふは、どーぞ」
料理はあまり得意じゃない私。
そんな私でさえ、作ってみたいと思えるほど美味しいオムライスで。
お店で食べたオムライスより、ずっと美味しいの。
『ねえ大毅くん、すごい美味しい!』
「ほんまに?それはよかったわ」
『ごめんね、来てもらったのに料理まで…』
「ええねんて。気にすんなや」
悩み事とかあるんやろ?
本当、大毅くんにはなんでもお見通し。
この前あんまいいアドバイスとかできひんかったし、なんて言ってくれて。
あれでも軽くなったのに、やっぱり優しい。
大毅くんってなんか、完璧だと思う。
「ほんで?どうなったん?」
『一応、私がまた企画し直すことになったかな』
「え、Aなんも悪ないんにそうなったん?」
『…仕方ないよ。私の方が立場下だし、新人だから』
夜だからと少なめに作ってくれたオムライス。
暗い雰囲気は苦手だから、食べることに集中しているうちに食べ終わってしまった。
「なあ、俺にできることない?」
『え?』
「やってそれはもうしゃあないことなんやろ?
せやったら、俺がA支えたい」
『もう十分すぎるくらいだよ』
「あかん。悲しそうな顔、見たないし」
な?って頬杖をつきながら笑うから。
視界がぼやけてきて、結局彼に甘えてしまう。
よしよしと撫でられた頭。
大毅くんの方を見ると、照れたようにはにかんだ。
『…いいの?』
「彼氏やもん」
『でも私、大毅くんに八つ当たりとかしちゃいそうで…』
「したってええよ。
それでAの気持ちが軽なるんやったら全然ええ」
『…大毅くんのばか、優しすぎるよ』
「でもその分、甘えられるやん?」
『…うん。ありがとう』
風呂借りるな。
ニコッと笑って言った大毅くんを送り出して、一人でまた考えてみる。
本当に、甘えていいのかな。
迷惑になったり、しないのかな。
いろいろ思うことはあるけれど、大毅くんがいいよと言うなら、甘えたい。
溜め込むことは、したくない。
『…大毅くんの言葉って、なんか魔法だな』
ふふっ、とこぼれた笑い。
大好きな人が、愛おしくなった。
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