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「なんかここ有名なんだって」
『なに?いきなり』
「いや、口コミ見てた。
従業員がイケメンってコメントもあるよ」
『ふーん』
「興味ないねえ」
『恋愛しなくたって生きていけるもん』
「まあ、今までの相手が悪かったからね…
恋に恋してたって言い訳でいいんじゃない?」
『もしそうなら、私の憧れは振り回されっぱなしの恋ってことになるからやめとく』
追加で頼んだのか、いつの間に運ばれてきたグラス。
本当、モデル並みに可愛いんだよなあ、実紅って。
可愛い以外に適当な言葉がないくらい。
「恋バナだけで仕事のストレス忘れられそう」
『それはおめでたすぎ。
どうせ明日になればまた項垂れるんでしょ』
「あは、バレたか」
カツン、と控えめな音を出したグラスに口づける。
久しぶりに飲んだお酒は、じんわりと染み込んでいくようで美味しかった。
こういう感想も、おばさん臭いのかな。
若者とはもう比じゃないよなあ、二十代なんて。
若いっていいな。なんでもできそう。
「ん〜っ、久しぶりに飲んだからなのか知らないけどすっごい美味しく感じる」
『純粋に高いのかもしれないけどね』
「私のお財布生きて帰れるかな…」
『いいよ、割り勘で。
私も聞いてもらいたい話とかあるし』
「そろそろイケメンって呼ぼうか?」
『遠慮しとく』
酔いが回るのが早すぎる。
「お待たせ致しました。オムライスの方は…」
『あ、はい』
「ごゆっくりお過ごしください」
さっきとは違う人。
彼が出てきてくれると思ったのか、向かい側の実紅は少し残念そう。
私たちを気遣ったあとにふわりと笑った彼。
ありがとうございます、と頭を下げる。
無邪気にも見えたその笑顔を、少し羨ましく思った。
「律儀だねえ」
『普通に礼儀じゃない?』
「いやいや、皆が皆そんなことしないよ。
やっぱいい子だね、A」
『慣れた人にいい子って言われるのも不思議だね。
喜んでいいやつ?』
「とびきりどうぞ」
『ふふっ、ありがとう』
美味しそうな料理が冷めないうちに。
きらきら目を輝かせる実紅を見てから、僅かに綻んだ口元にオムライスを運んだ。
『…美味しい』
思わずこぼれた笑み。
それを実紅に撮られていたことには、全く気づかず。
このオムライス美味しい。
また来たいかも、なんて思っていた。
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