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「緑」金髪イケメン、神山くん。 ページ23

Main __ K.Tomohiro







「なあ」

『…あ、私?』

「お前以外誰がおんねん」

『ご、ごめん、違う人かなって思って…
どうかした?神山くん』





崩した制服に、金髪に、バチバチのピアス。

優等生のレッテルを貼られた私とは違いすぎる彼に、話しかけられただけでたじろいでしまう。





「…や、別に」





後ろ髪を掻くその仕草は、イメージにない。


見たことのない姿と、雰囲気。
なんだか、神山くんのことが上手く見れなくなる。

神山くんはそんな私の手元をチラリと見て、また口を開いた。





「それ、どこまで持ってくん」

『これ?職員室だけど…』

「…そ」





手伝う、なんてことは言わないのに、私からノートの三分の二を取って廊下へ出て行く。

呆然とする頭を横に振り、先を歩く神山くんを慌てて追いかけた。





『か、神山くん!』

「ん?」

『っ、へ、』

「…なに。なんか変?」





振り返りざま、本当に普通に言った「ん?」は多分、どのイケメンが言っても勝てないだろう。

いつもは前髪で隠れていて見えないのに。

振り向いた拍子に少し横に流れた髪。
パッチリとした目に、胸がドキッと音を立てた。





『…ううん、なんでもない』

「ふは、変な奴」





ねえ、私こんな神山くん知らないよ。


いつも一人でいて、髪色だってしょっちゅう変わる。
目が合うだけで睨むような視線の神山くん。

そんな神山くんが、笑ってる。
くしゃっとした笑顔を私に向けてる。


どことなく感じる猫のような雰囲気はいつものナイフみたいな神山くんとは別人みたい。





『神山くん、』

「なに」

『笑った方が、かっこいいと思う』





私の言った言葉に目を見開く神山くん。

私だってびっくりだよ。

こんなこと言うつもりじゃなかった。
ただ、「ありがとう」を言おうとしただけなのに。





『あ、ご、ごめん、意味わかんないよね!』





あはは、なんて乾いた笑いに、自分でも馬鹿だと思いながら職員室に急ぐ。

神山くんを追い越したところで、また声が聞こえた。





「なら、頑張るわ」





私だけに向けられたぎこちない笑み。
ドキドキと鼓動が加速していく。

さらりと揺れた金髪を、初めて怖いと思わなかった。





『う、うん』





終わりを告げようとしている春。

暑い夏が、すぐそばにいるような気がした。






___Fin

「紫」いつも通りだからこそ。→←.



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設定タグ:ジャニーズWEST , 短編集 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
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凜憧(プロフ) - 一波さん» 一波さん!いつもありがとうございます(´ー`)こちらこそ、今年も沢山の励みをありがとうございました!一波さんも良いお年を(^ワ^=) (2019年12月22日 15時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - のんちゃんの最新作両片思いで焦れったくても〜!って、やきもきしちゃいました!今年も素敵なお話たくさんありがとうございました(^^)よいお年を(^^)素敵な (2019年12月22日 6時) (レス) id: b7aae62310 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - お返事ありがとうございます!こちらこそ面白いお話ありがとうございます!これからも楽しみに待ってます! (2019年10月4日 23時) (レス) id: 00967ad8ca (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - 一波さん» ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです、頑張ります!こちらこそ閲読いただいてありがとうございます! (2019年10月4日 19時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - 私を覚えていてください。今読みました!すっごく後に引くお話だったので新作として書いてくれるの嬉しいです!ステキなお話ありがとうございました。 (2019年10月4日 0時) (レス) id: 00967ad8ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:凜憧 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年3月16日 0時

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