*3 好きと不安は紙一重。 ページ25
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「なあっ、」
『は、なして』
追いかけてきた大毅を、必死に拒絶する。
逃がさないとでも言うように、後ろからぎゅうと抱き締められて。
抜けようとするのに、力が強くてできない。
体が密着するせいで甘い匂いが漂う。
一番落ち着けるはずの相手が、今は一番落ち着けなかった。
「俺、なにした?言うてや。
なにがダメやったか、直すから言うて?」
『っ、』
耳から直接聞こえる甘い声に思わず瞳が滲んでくる。
こんなにも大好きなのに、思いを伝えようとしても上手くできない。
私はやっぱり、不器用なんだ。
『な、んで?』
「ん?」
『来るの遅いし、来たかと思えば嬉しそうだし。
なんか、甘い匂いするし』
「…ん」
『私、大毅の彼女だよね?』
くるりと向き直って、彼のワイシャツを両手で握る。
顔を上げることなんてできなくて、でも返事が気になって。
ああ、いつの間に。
いつの間にこんなに好きになったんだろう。
「ごめん。心配させたやんな」
『やっぱり……』
「ちゃんと説明するから、聞いて?」
そう言って、私の顔を上げさせてニコッと微笑んだ。
私を想う大毅が好き。
そう告白されたのが嬉しかったこと。
最後に、後輩に抱きつかれたこと。
さすがに二つ目を聞いたときは思わず離れたけれど、ぐいっと引き寄せられて効果はなかった。
…結局は触れられてるんじゃん。
『それでも、やだ』
「なにが不満?」
『…だって、大毅の彼女は私じゃん。
他の人に触れてほしくない、もん』
嫉妬深い。
好きになればなるほど、大毅や周囲への不安は大きくなっていく。
そんな自分が、嫌で仕方ない。
「なんやそれ…反則やん」
『な、にが』
「俺がどれだけ我慢したか分かっとるん?」
『我慢?』
「俺やって男やし。
触れたいって思うに決まっとるやん」
そう言って掬い上げるようにキスをする。
初めてだった私には刺激が強すぎて、思わず大毅の胸を押してしまった。
…なんか、慣れてる?
「ごめん、嫌?」
『慣れてる…私、初めてなのに』
「ふふ、俺も初めてやで」
『え…んっ、』
好きと不安は常にセット。
思い知らされるには、少し刺激的すぎる事件だった。
番外編1 ___Fin
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しげおかりな(プロフ) - そう、うちやで笑 うん、わかった (2019年7月19日 22時) (レス) id: ab408f8195 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - しげおかりなさん» 莉奈?え、莉奈…だよね?ううん、大丈夫だよ。こっちこそごめんね、急に。ボードで話さない?説明も含めていろいろ話したいことあるからさ!本当に?ありがとう!! (2019年7月19日 17時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
しげおかりな(プロフ) - ゆーり、久しぶり… 久しぶりのコメントやのにごめん、うちなんかした? ゆーりの小説久しぶりに読みに来たらやっぱりおもしろかったよ('') (2019年7月19日 17時) (レス) id: ab408f8195 (このIDを非表示/違反報告)
凜憧(プロフ) - non.yutaさん» ありがとうございます!キャーってなってもらえてよかったですー!笑 そう言ってもらえて嬉しいです… 頑張ります! (2018年11月28日 21時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
non.yuta(プロフ) - とても楽しかったです!やっと両思いになれて……キャーってなりました!!続編待ってます。お願いします(^^) (2018年11月28日 18時) (レス) id: fa092d8f4a (このIDを非表示/違反報告)
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