▽17 私を選んでくれた理由 ページ17
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「先輩…?」
『あ、重岡くん』
あれから数時間。
藤井は授業をサボりまくって、恐らく保健室にいると思われる。
なんか、悪いことしたな。
『小瀧から聞いた?』
「あ、まあ、はい」
『ごめん、嫌なら全然いいんだけどさ』
「嫌ちゃいますよ。
帰りましょ?どっか寄り道したいです!」
『…うん。帰ろっか』
よく見たら、やっぱりかっこいいんだよなあ。
笑ったときにできる笑窪も、くしゃっとなる目も。
少し舌っ足らずな甘い声も、自然な甘い匂いも。
ドキドキするには、心臓が足りないくらい。
背も高いし、優しいし。
こんな完璧な人がなんで私を選ぶんだろう。
私なんか、普通にどこにでもいる平凡な女子なのに。
『ねえ、重岡くん』
ゆっくりと歩きながら、口を開く。
校庭で走るサッカー部と野球部。
昇降口まで聞こえる部活動中の生徒の声は、なんだかドラマで見るようなワンシーンみたいで。
これも青春なんだと実感する。
もうこの春も高校最後なんだよなあ。
『重岡くんは、なんで私なの?』
藤井も、重岡くんも。
ルックスに文句なんてなくて、優しくて、背も高くてかっこいいのに。
特別可愛いわけでもない私を選んでくれることに、疑問しかない。
「んー、なんでやろ」
「気づいたら一目惚れやったし。
…好きなもんは好きやから、分かりません」
そう言って無邪気に笑った重岡くん。
その笑顔は、ずるいんだって。
『…そっか』
なにもかも特別に感じちゃうんだよ。
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凜憧(プロフ) - ぽてとふらい。さん» うん、ありがとうね笑 その言葉を励みに更新頑張ります(^ワ^=) (2019年7月29日 15時) (レス) id: f3cbf63448 (このIDを非表示/違反報告)
ぽてとふらい。(プロフ) - 好きです。(唐突)(話が好きすぎて言葉でない)(とりあえず告白を)(無理せずゆっくりでもいいから更新頑張れ)(待ってるで私は)もう一度、好きです。 (2019年7月29日 14時) (レス) id: 9d94f1b87d (このIDを非表示/違反報告)
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