−2−え……私の幼馴染が呪ってたんですか…？【乙骨憂太】

逆ナン日和 ページ14

皆さんは、"逆ナン"というものをご存知だろうか？



そう、カレーに逆にナンのことを逆ナンと……あっ間違えた。これ昔お父さんが言ってたやつだ。大体カレーに逆にナンってどういう意味だよ。子供の頃だったとは言えお父さん少し私のことナメすぎでは？？



話が脱線しかけたので元に戻すと、逆ナンというのは逆ナンパ、つまり女性から男性に声をかけてナンパをすることである。



…何故突然そんなことを言い出したのかと言えば、もうお察しの方もいるんじゃないか。




目の前でアタフタと慌てる幼馴染と、グイグイ声をかける女性2人。気のせいかな、憂太の慌て具合と女性の喋るスピードの速さが比例してる気がするのは。



……………どうしてこうなったのか？
話は1時間前に遡る。









＿＿＿＿＿今にして思えば、キッカケはあの一言だった。




「あ……シャー芯が切れちゃった」

『あ……ストレスでシャーペンを真っ二つに折っちゃった』

「おい待てなんかAのセリフ可笑しくなかったか？？」

「明太子」




報告書を書いている際、任務に対する怒りを思い出して力を込めた瞬間ポッキリと綺麗に折れたシャーペン。別にシャーペンはまだ予備があるんだけど、ルーズリーフやノートはもうそろそろ無くなりそうで。




『ちょっと買い物行ってこよっかな…』

「あ、じゃあ僕もいい？」

「確か私も買いてぇモンあったな。A、ついでに買ってこい」

「ツナマヨ、いくら」

「カルパス食べてぇな。おーいAー」

『3人はサラッとパシリにすんじゃねぇ』




そんな訳で近くのショッピングモールに仲良く出掛け、そこに着いたのが1時間前。別行動で文具など欲しい物を全て買ったのが30分前。集合場所に行く途中で美味しそうなラーメン屋に寄り道したのが25分前。ラーメンを食べ切り再び歩き出したのが5分前。



そして幼馴染の逆ナン現場を見ているのがたった今。すなわち冒頭の場面である。



「た す け て」と口パクでヘルプを求められるが、ごめんな憂太、私にはそういう相手を追い払った経験が無いんだわ。



満面の笑顔で微笑むと、グッと憂太にサムズアップしてみせた。憂太がホッとした表情で息を吐くと同時に、私はその表情のままクルリとUターンしてその場から逃げた。









(憂太の表情が一瞬で絶望に染まっていたのが逃げる直前の視界に映った)

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