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Aside
朝、いつもならアラームに叩き起されている時間よりはるか早く目が覚めてしまった。
窓の外を見ると、まだまだ暗く少し肌寒かった。
また寝ようと思ったが、彼が朝来ると思うと憂鬱で寝付けなかった為、そのまま支度を始めることにした。
ご飯食べて、着替えて…
彼の好みに合わせたくて、肩まで切った髪。
何年も伸ばし続けた髪を切るのは嫌だったけど、彼に好きになってほしくて迷わず切ることを選んだ私。
馬鹿みたい。好きになってもらえたのに、それ以上のものを求めて苦しむなんて。
ううん、元から好きになんてなってくれてなかったのかも。
短い髪を見て鏡の前で自虐気味に笑った。
******
まるでデート前みたいに念入りに準備して、彼が来るのを待つ。気持ちはデートなんかと真逆なのにね。
なるべくなら、このまま来てほしくない。少しでも長い間、彼の彼女でいたい。
しかし、そんな不純な期待はすぐに裏切られた。
「Aー!お迎え来たわよー!」
『…っ、』
お母さんの声を聞いて、すぐに涙が込み上げてきた。
零れてきそうな脆い涙を落ちないようにしながら、ゆっくりゆっくり玄関の方に向かっていった。
『はい……』
「おはよ。って、何死にそうな顔してんだよ」
『……は?』
ドアを開けると、空みたいな青色の彼…ではなくうざっだるい程の桃色が映し出された。
『何しに来たの…』
正直、彼を除けば1番に会いたくなかった。さとみの気持ちに気付いてしまった以上、今までの関係を維持するのは無理だろうし何より私が嫌だった。
さとみと居ると、絶対に溺れてしまう気がしたから。
「何って、おばさんに昨日の夕飯のお礼」
『あ、そ…』
いまいち歯切れの悪い返事をして、話す気が無いということをさりげなく表す。
しかし、それに気付かないのか…はたまた気づいているのにわざとなのか。さとみの事だし明らかに後者なのだが…未だにドアの前で佇んでいる私の手を取り、自分の手と重ねた。
『ちょ、!』
「いーじゃん別に。こうでもしないと逃げるでしょ」
こいつには私が猫にでも見えているのか… 、はたまたわざとなのか。うん、今回も絶対にわざとだろう。そういう奴だから。
すぐさま手を離そうとしたけど、さとみが一向に離してくれないため家の前でずっと攻防戦が繰り広げられている。
だからこそ、いつの間にか時間が経って彼がいることにも気付かなかったのだろう。
「さとみくん、人の彼女に何してんの?」
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藍 - あああああ…めっちゃ好きな展開です…!!!! (2021年3月23日 21時) (レス) id: 2080e60fec (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑 - この二人のドロドロ系、大好きだァァァァァァァァァァ!!!!最高ですっ! (2021年2月8日 18時) (レス) id: afebd09899 (このIDを非表示/違反報告)
ヨゾラ。@空色(プロフ) - あ、全力で追いかけますね。(ダークネススマイル【暗黒微笑】) ←50メートル走10秒 (2021年1月25日 23時) (レス) id: 434d8da963 (このIDを非表示/違反報告)
れも - ヨゾラ。@空色さん» 莉犬くんしか勝たん勢なんですすみません(( 上げられるほどの語彙力が見当たらないので逃げますね。ありがとうございますね!!【逃走中】 (2021年1月25日 21時) (レス) id: 4c4ba7dc8e (このIDを非表示/違反報告)
ヨゾラ。@空色(プロフ) - なんか3話目の雑談的なやつで急に莉犬くんぶっ込んできて頭こんがらがって笑ってました。(?)えーと、一言言います。好きです。語彙力下さい。 (2021年1月25日 13時) (レス) id: 434d8da963 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れも | 作成日時:2021年1月23日 19時