二郎ちゃんの難解な恋。1【ヒプマイ】 (ページ3)

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二郎ちゃんの難解な恋-2 ページ3

目が合った、気がしただけで、そのあと特に何も無く体育の時間になった。

高校は当然男と女で分けられているため、関わる機会もない。

おれ的には何かの運命とかで2人1組ってなったら、余りもの同士でAちゃんと組むとか、そーゆうの欲しかった。

…あのAちゃんが余るわけねーか。

「おっ、見ろよ。女子のとこ。」

「おー、すげ。揺れてる。」

俺らは高校生。

そりゃ、思春期なわけで女子のことそーゆー目で見てるやつもいる。

いや、そんなやつしかいない。
特に好きでもない女子の胸とかでも騒げるくらいだから。

「あ、Aちゃん髪結んでんじゃん。かわいー。」

誰かがそう言っている声に、無意識にAちゃんを探そうと女子の方に目を向けた。

…あれ？…いなくね。

自慢じゃないけど、Aちゃんなら目瞑ってもすれ違っただけで分かるくらい結構知ってると思うんだけど。目立つし。

A「え、そうかなぁ。嬉しい。実は髪結ぶの得意じゃなくて…。ちょっと自信ついたかも！」

「可愛いよ。めっちゃ。」

A「もう〜照れるよ。」

その会話が、さっき「似合ってるね。」と褒めてたやつとしていることに気づき、道理で女子側を見ていないわけだと納得した。

…てか、なんで男側？

女子のとこいかないのか？
そもそもそんな気軽に来たら注意することないか？

そんな正答する優等生みたいな理由を頭に浮かべては、その光景に嫉妬する自分に嫌でも気づいて歯がゆかった。

べつに、俺とAちゃんは席こそ近いけど仲良いわけでもねーのに。

勝手に嫉妬とかして、俺ださ…。

「女子のとこ戻んねーの？Aちゃん。」

別の男がAちゃんに声をかけにいった。
するとAちゃんは少し眉を下げて困ったような表情をして、女子側を少し見て言った。

A「…嫌われてるのかも。」

「おいおい。俺のほうばっか来るからじゃん。」

「まあそりゃいい気はしないんじゃない？」

たしかに。

Aちゃんは女子とほぼ喋んないし。
お昼もいつもどこかに行って仲のいい女友達がいるのか分からない。

てか、居ない気がする。

「まっ、ほんとになんかされたら来いよ？」

A「ええ〜されないと来ちゃだめなの？」

「ばーか…余計嫌われるぞ。」

A「好きな人と自由に喋ってもよくないかなぁ。」

愛らしい顔で、なにも企んでなさそうな口調でおどけて言えば周りにいた男たちは嬉しそうにしながらAを小突いた。