第七話 Are you ready? ページ8
その日、いつものようにバーテンダーをこなしていたAに先ほど発生したイカサマの犯人を『処理』したらしい支配人から一報が入った。なんでも、またあの四人の筆頭プレイヤー集団、『浦島坂田船』が来ているとのこと。
その知らせにバーがどよめきにつつまれ、ほとんどの客はグラスに入っていた酒を一気に飲み干し、我先にとバーを飛び出していく。
もちろん、ディーラーを務めるAが遅れるわけにはいかず、一緒にバーテンダーをしていた先輩従業員にその旨を伝えようとすると、
「こっちはいいから早く行って来なさい」
と、冷たく返されたが、あれがあの人なりの優しさなのだろう。なぜ、そう考えられるか、それは、ここの従業員になった時、教育係があの人だったからだ。
あんな風に返すけど、仲間思いなんだよな〜
そう思いながらカジノの奥に入っていき、バーテンダーの制服からディーラーの制服に着替える。仕事仲間とすれ違うたび、頑張ってね、などの応援の言葉をかけられる。
私がこの服に袖を通すことはほとんどない、それほど彼ら四人が揃う機会が少ないのだ。にしても、彼らは表社会でいったいどのような振る舞いをされているのだろうか。
いや、考えてはいけない。ここではそのような詮索はご法度。私と彼らの関係はディーラーと客、それだけだ。それだけなのだ、そう
それだけでなくてはならないのだ。
そのテーブルに着いた時にはすでに四人は着席していた。申し訳なく一礼すると、坂田さんが話しかけてきた。
「ヤッホー、Aちゃん、髪切った?」
「坂田、それセクハラだぞ」
「ええっ!?浦田さん、髪切ったか聞いただけでセクハラなの!?」
「今時、セクハラのラインってよくわからんからねぇ、Aちゃんが不快に思ったらセクハラ。そういう意味でもまーしぃは妹さんに注意せなあかんなぁ」
「安心しろ、俺と妹はセクハラとかそういうのを超えてるから」
「そ、それはそれでどうなんでしょうか……」
志麻さんってもしかしてシスコンだったり?
「まぁ志麻がシスコンかどうかはさておき、始めようか。A頼んだ」
やはり浦田さんはリーダーなのだろう、彼の一言で全員の雰囲気がふっと変わる。観客も押し黙り、これから始まる戦いに息を飲む。
「そ、それでは只今より浦田様、志麻様、坂田様、センラ様によるポーカーを開始させていただきます!」
観客たちが拍手を送る中、私はカードを配る。
第1回戦、その幕が上がった。
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山犬 - レンさん» 参加フォームと書かれているところの下に途中まで書いてあるところがあるので、そこに続きを入れていただければ登録されます。 (2019年6月4日 20時) (レス) id: b8d496b207 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - 山犬さん» すみません、IDの登録の仕方を探していたのですが…すみません、どうしてもわかりません。お手数をおかけしますが教えていただいてもよろしいでしょうか。 (2019年6月4日 7時) (レス) id: d04baceb42 (このIDを非表示/違反報告)
山犬 - 遅くなりました!イベント参加ありがとうございます!…その前になんですが、イベントの方にIDの登録をしていただいてもよろしいでしょうか…?それが完了されましたら改めてコメントさせていただきます。お手数をおかけして申し訳ございません。 (2019年6月4日 5時) (レス) id: b8d496b207 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - 返信が大変遅れてすみません!初めてでしたが面白いと感じさせられる小説を書けて幸いです。たった今更新したのでそちらも見ていただけると嬉しいです! (2019年6月1日 13時) (レス) id: 51cf4b06a6 (このIDを非表示/違反報告)
志麻セン寄りのcrew - はじめてなんですか!?凄い面白いです!更新頑張ってください! (2019年5月30日 15時) (レス) id: e4b55a25ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レン | 作成日時:2019年5月24日 23時