その男、公安委員につき②【ヒロアカ】 (ページ39)

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その男、雄英体育祭ページ39

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　――雄英体育祭当日

　いつもとは違う装いで――任務時のスタイルで雄英の門をくぐる。途中で数人のクラスメイトとすれ違ったが、バレる様子はない。

　既に多くの人で溢れている屋台で数人のプロヒーローと軽く挨拶を交わし、少し人から離れた所で翼を広げて大きく羽ばたく。

　上空を飛び回っていると、敷地内のひと際大きなドームから声が聞こえてきた。

「ヘーイ！刮目しろぉ、オーディエンス！群がれ、マスメディア！」

　ドーム内に取り付けられたモニターには、マイク先生の姿が映っている。

「今年も！お前らが大好きな高校生たちの、青春暴れ馬！雄英体育祭が始まりエヴィバディ、Are You ready？！

　1年ステージ、生徒の入場ダァ！！」

　マイク先生の言葉を受け、会場から割れそうなほどの歓声が聞こえてくる。上空には鮮やかな花火が打ち上げられている。

「雄英体育祭！ヒーローの卵たちが、我こそはとしのぎを削る、年に一度の大バトル！どうせあれだろ？！コイツ等だろ！？

　敵の襲撃を受けたのにも関わらず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新生！ヒーロー科、1年A組だろぉ！？」

　クラスのみんなが入場してくる。続いて、マイク先生のアナウンスと共に他の1年生徒が入場し、会場の真ん中で並んでいる。

「選手宣誓！」

　ミッドナイト先生の声が聞こえ、生徒の入場とはまた違った意味でざわつき始める。

「静かにしなさい！」

　ミッドナイト先生がざわついた会場を一括し、言葉を続ける。

「選手代表！ 1年A組鳶嵩Aに代わり、同じくA組爆豪勝己！」

「宣誓。俺が1位になる」

　……絶対言うと思った。会場からもブーイングが巻き起こっている。爆豪が生徒の方へ振り返り、言葉を続ける。

「せめて跳ねの良い踏み台になってくれ」

　そう言い、爆豪はクラスの中へ戻っていった。

　そして第一種目が障害物競走と発表され、生徒がスタート位置に移動する。俺は再び上空から警備へ戻る。

　こうして、雄英体育祭が華々しく幕を開けた。

　途中で何度か地面に降りて、警備にあたるプロヒーローと言葉を交わしながら校舎周辺を飛び回り続ける。特に怪しい人影などはなかった。

　近くのモニターに目をやると、マイク先生の声が聞こえ、"WINNER"という文字と共に緑谷の顔がデカデカと映し出されていた。

「……意外だな。轟か爆豪のどっちかだと思ってたけど、第一種目は緑谷が1位か」

　そう呟いて、休憩室へ向かう。